前回のお話
もち三さんは職場から近い、提供の早さが売りの飲食店にランチをしに来ていました。
13時から会議なので、それまでに会社に戻りたいのですが、その日は初めてみるパートのおばさんが焦りながら仕事をしている。
「なかなか注文の品、来そうも無いなぁ。でも店内のお客さんは5人ほどだから、大丈夫か」
時間をちらちら気にしながら、そんな風に思っていたもち三さん。
彼が入店した後にも、お客さんはちらほらと入ってきています。
中には、やたらと綺麗な女性のお客さんもいました。
人のことなのに、つい“他のお店に行けばいいのに“などと余計な思いが頭を掠めます。
その時、店内に機械音が鳴り響く。
音の方を確認してみると、フードデリバリーサービスの配達員の方がいらっしゃいました。
「ああ、そうか。今時は店内にいる客だけが、注文を待っているわけでは無いのか」
しかも配達員の注文の品も、できていない様子。
徐々に削られていく、長いとは言えないもち三さんの、ランチの時間。
「大丈夫じゃ無いかもしれない」
配達員の方もそのまま15分ほど、待たされていました。
“デリバリーさん。出来ましたよ“
「ようやく配達員の人の分ができたのか。じゃあ、私の番は…次の次、くらいかな?」
順番が少しずつ近づいてくるのを感じると、不安な気持ちも和らいできます。
“次の次“
何度も何度も、自分の順番を頭の中で想像してみます。
そうしていなければ、なんとなく落ち着かないのです。
そうやって落ち着かせていたのに、先程の配達員の方が、すぐ店の方に戻ってきてしまいました。
どうやらお客さんに“頼んだものと違う“
そう言われたみたいです。
“なんと!?”
しかも店員さんは配達員の方に
“うちの間違いかもしれないけど、あの時ひっちゃかめっちゃかだったから!“
などと言い放っています。
待たせた上に、注文の品も間違える。
曲がりなりにも社会人であれば、忙しいとは言えサービス業の店員さんとして、ものの言い方が全然なっていないことはわかります。
「これは…みんなほんとに大変だ」
かくいうもち三さんも、いつもは5分くらいで商品を提供してくれるこのお店で、既に30分ほど待っています。
「はあぁ、困っちゃったな」
続きます。