前回のお話
病気を未然に防ぐため、セルフメディケーションを推奨しているポ村の村長。
村民の健康をサポートするためにも、本日は月一の“健康相談会“を行っています。
今回は高齢者の方たちの”誤嚥”を防ぐためにお口の体操”あいうべ体操”をみんなでやることにしました。
「さぁ、みなさんご一緒に、口を大きくあけて」
「あー」
「いー」
「うー」
「べー」
「上手に出来ているかしら?」
「はい。きのこさん、しっかり出来ていますよ」
「トビーくんもやるー!」

「トビーくん、そんな大きな声を出さなくてもなくて大丈夫ですよ」
「そうなの?じゃあ次は口を横に開いてー」

そして口をすぼめ。

最後は舌を思い切り出す。

「あ!!」
「ヤッパリ大キナ声。トビー君ハ元気ネェ」
「じゃなくって、あれ」
少し強めの風が吹いたからか、きのこさんが肩にかけていたスカーフが飛んでしまい、木に引っかかってしまっていました。
「あら、いやだわ。私のスカーフ?」
「待っててー。取ってきてあげるー」
「いいわよ。トビーくん。危ないから」
「そうですよ。ここは大人が行った方が」
きのこさんと村長が、トビーくんを心配しています。
「にゃ!にゃこが取ってきたるにゃ」
「にゃこ!?」
ここはねこさんの類まれなる身体能力に頼ってみましょう。
身軽そうなトビーくんより、だいぶぽよぽよした体型のにゃこさんですが、ぴょこぴょこと木に登っていきます。
危なそうであり、危なげなさそうでもあるにゃこさんの木登り。
「取ったにゃ」
「にゃこすごい」
「取ったにゃー。おばあにゃん取ったにゃー!」
木の上でスカーフを握りして、叫んでいるにゃこさん。
「ありがとうー!にゃこちゃん、ありがとー」
そんなにゃこさんにきのこさんも、大声で応えています。
「にゃこさん、大丈夫でしたか?怪我はありませんか?」
「にゃ!そんちょ(村長)だいじょぶにゃ」
「よかったねー。なんかさぁ。お口の体操してたら、僕またお腹が減ってきちゃった」
「ふふ。トビーくんも?実は私もなのよ」
その話を聞きつけたナメ江さん。
「卵ガ、マダアルカラ“ニラの卵とじ“デモ、作リマショウカ?」
「卵とじ好きー。食べるー」
お口体操の後、再びみんなでトロトロでほっかほかのお料理をいただいてしまっています。
でもこうして、いつまでもおいしくご飯を食べる。
それが村長の、ポ村の村民のささやかな夢のようです。