前回のお話
ある冬の日。
朝から置いてある謎のダンボールの存在、店内を漂う甘い香りの正体について気になっていたオウギさん。
その正体がついに判明しました。
「みかん?」
どうやらイチイさんが置いたものだったようです。
みかんの話の他、薬局のスタッフ同士で薬の有効期限、食品の賞味期限について話し合っていた時、患者さんがやってきました。
「開封していない薬の有効期限ってどのくらいなのかしら?」
【薬の有効期限】
医師から処方された処方薬は、全部飲み切る分だけを渡されます。
期限は気にすることなく、処方された薬は全て飲み切るようにしましょう。
頓服など年単位で使用するであろう薬は、期限が重要です。
痛み止めなど、家庭での保管状況では1年以内に使用するようにしましょう。
保管状態によっては、薬が早く劣化してしまっている可能性もあります。
“温度“
“湿度“
“光“
この3つを気をつけることが大切です。
また高額な薬で処分にどうしても迷うときは、薬のシートに記載してあるロット番号から有効期限を調べることができます。
かかりつけの薬剤師がいる場合は、相談してもいいと思います。
医師に処方されてから時間が経過している場合は、症状がすでに異なっていることもあるので、薬の品質に関わらず廃棄した方が良いです。
知人に譲渡するなども、してはいけません。
「そうなのね。今度その薬、持ってくるわね。ところでおみかんがたくさんあるわね。おいしいわよね。私、おみかん大好き。冬になるといつも買い込んで、手を黄色くしてしてしまうのよ」
「そうなんですか。ほんと美味しいですよね。ところでその…みかんの保存方法ってどうやっていますか?」
患者さんにみかんの保存方法を教わるオウギさん。
「みかんの保存方法?そうね」
冬場は常温。
それ以外は野菜室。
ヘタを下にして乾燥を予防します。
そして傷みかけのみかんとは、一緒に保存しないようにする。
「そうなんですね。勉強になりました。ありがとうございます」
「いいえ。こちらこそ、ありがとう。閉店時間、過ぎちゃったわよね」
患者さんが帰った後、すぐさま傷みかけのみかんを選り分ける。
「おお…ほとんど傷んどる」
「でも甘くて美味しかったですよ。このみかん」
「それにしても余りすぎですよ。買うのに満足して食べるの忘れてたんじゃないですか?」
残薬が生じてしまう原因も“飲み忘れ“が多いと言われています。
さっきチラッとイチイさんが言っていた“残薬“は、医療費の約2割を占めています。
それは数百億円分の医療費が、無駄になっているということ。
古い薬は処分してもらうしかないが患者さんの“飲み忘れ”などは、薬剤師がカバーしていきたいところです。
薬も食品も期限を意識してほしい。
熟し過ぎの果物に、文句を言えなくなるオウギさん。
「酸味がある果物の方が、好きなんだけどな。ほら、イチイさんも食ってくださいよ」
「食ってるよ。俺の今日の朝飯みかん」
「朝食みかん?オレンジとかなら、まだモデルの朝食っぽいけど」
結局みかんは薬局のスタッフで分けて、残さずしっかり食べることにしました。