前回のお話
ある冬の日。
朝から店内に置いてあった謎のダンボールと、店内を漂う甘い香りの正体について気になっていた、薬剤師のオウギさん。
そんな中スタッフ同士で薬の有効期限、食品の賞味期限についてなどを話し合っていました。
そしてひょんなことから、オウギさんが気になっていたダンボールの中身をついにのぞいてみることになる。
中に入っていたものは…
「何これ、みかん?一体誰が…」
オウギさんはついさっき、、イチイさんが口にした言葉を思い出していました。
“薬の有効期限。食品の賞味期限“
「イチイさん、このダンボール置きました?」
「お?良く気づいたな。俺の一言がこのダンボールの中身の伏線だということを」
「気になったことがあるなら、直で聞いてください。めんどくさい人だな」
謎のダンボールが気づかれるよう動線上に置いてある時点で、イチイさんが置いたのかもと思うべきだったのかもしれない。
「で、みかんの賞味期限とやらを言え。みかんって傷みやすいんだっけ?」
ダンボールに入っている、冬の果物と言えばのおみかん。
大量に入っています。
「そもそもどうしたんですか、これ」
「家にたくさん置いてあったんだ。いつ買ったんだか。俺は食べ物を腐らせて捨てるのが嫌いだ」
果物は新鮮なものが好き、熟している方が好き、それは人それぞれです。
「好き嫌いせずに食ったらいい。食べれはする」
「腐りそうだから食べて欲しいというなら、早くそう言ってくださいよ」
「お二人、じゃれないでください。僕は熟している果物の方が好きですよ。酸っぱかったり、固い方が苦手です。…そろそろ閉店時間ですよね」
そういい、ちょっとつまみ食いするチョウジさん。
「お前も食えや」
「…その前に、もうちょっと保存方法ってもんを考えなかったんですかね?ただダンボールの中に入ってましたけど」
「果物の保存方法?」
薬の保存方法のことくらいしか知らないメンバー。
そんな話をしている最中、閉店ギリギリの時間に患者さんがやってきました。
「こんばんは、間に合ったかしら?」
「あ、こんばんは。大丈夫ですよ」
口をもぐもぐさせながらも、しっかりキリッとお仕事モード。
処方箋を渡したあと、なんと患者さんから開封していない薬の有効期限について聞かれました。
「最近、いつ買ったのか、覚えていない薬があるのに気が付いて」
とてもタイムリーな質問。
前にイチイさんが言っていた、シンクロニシティというやつなのでしょうか。
開封前の薬の有効期限。
製造されてから3年くらいのものが多い。
「その薬の種類はどのようなものでしたか?」
「ええとね」
次回へ続きます。