「にゃっふにゃっふ♪」
何やらごきげんなにゃこさんが、ポ村をとっことこと歩いています。
「今日もまた、おばあにゃんたちを癒してあげるんにゃー」
にゃこさんが顔を見せると、いつも喜んでくれるポ村の優しいおばあさんたち。
そしておばあさんたちは、にゃこさんを見かけるといい子いい子をしてくれる。
それが嬉しくてたまらない、セラピーキャットの研修生であるにゃこさん。
いつもそうですが、にゃこさんが癒しているというよりは、完全ににゃこさんの方が癒されています。
しかしそんなことには気が付いていないにゃこさんは、癒してあげるつもりでおばあさんたちの元に向かいます。
「いたいた、おばあにゃんたちがいたにゃ」
ところが…
「にゃっ!」
「どろちゃんにゃ!またどろちゃんのやつがいるにゃ」
にゃこさんはきのこおばあちゃんたちが、どろちゃんと一緒にいるのを目撃。
どろちゃんとはポ村でひとり自由に暮らす、にゃこさんとはソリの合わないねこさんです。
そのどろちゃんが、きのこさんに抱っこされています。
いつもひとりでいるどろちゃんだって、抱っこは大好きです。
にゃこさんのように積極的には甘えられないどろちゃんですが、おばあちゃんたちの方から抱っこされると少しずつ甘えることができるようになります。
「どろちゃんのやつっ!そこはにゃこの席にゃのに!」
にゃこさんだって甘えたい。どろちゃんずるいっ!
そう思ってしまう幼い脳を持つねこさん。
自分の好きなものを取られると、ついほっぺを膨らませて怒ってしまいます。
“あれはにゃこのおばあにゃん“
好きなものは独り占めにしたい、取られたくない。
にゃこさんはまだまだ未熟な子です。
どろちゃんを抱っこしているきのこさんは、いつものお仲間と広場で井戸端会議中。
今はアクリルのパーテーションを設置してありますが、ここはきのこさんたちの憩いの場所。
お仲間と顔を合わせては、ここでおしゃべりしてしまう、そんな場所。
どろちゃんもその輪の中で、一緒にくつろいでいる様子です。
それを忌々しげに眺める、セラピーキャットの研修生さん。
“今日こそはどろちゃんに勝って、おばあにゃんを独り占めにしたるんにゃ。
おばあにゃんのいい子いい子は、にゃこさんのものなんにゃ“
元々どろちゃんとにゃこさんの、縄張りがかぶっているこの公園。
だけどこの公園は、にゃこさんだけの縄張りにしたい。
“にゃっておばあにゃんを取られるのは、嫌なんにゃもの“
そんな風ににゃこさんは意気込んでいます。
縄張りとかなんとか…ねこさんにも色々と面倒くさいことはあるようです。
次回へ続く