現在医療費は一年間で、40兆円を越えています。
やはり何とかこの巨額な医療費を削減したい。
常に医療費削減を意識しているポ村の村長は、住民にセルフメディケーションをすすめる活動をしています。
マメチュー先生の調剤薬局に通う患者、ポ村の住民もち三さん。
以前銀杏の食べ過ぎで倒れたことがあります。
ここ最近もなんだか調子がよくない。
仕事で疲れて、毎日何だかとってもだるい…
“癒しが欲しい!癒しが欲しい!!癒しが欲しい!!!”
普段森林浴をして、ストレスを発散しているもち三さん。
本当に病気を発症してしまう前に、癒しを得たい!
ということで仕事がお休みの今日は、お弁当を持って原っぱでランチをすることにしました。
「ああ…なんか草原にいるとホッとするなぁ」
その頃、セラピーキャットの制服を着て出歩くにゃこさん。
現在はまだまだ研修中の身です。
本来今日はお仕事の日では無いのですが、お仕事気分でお出掛け。
「にゃこさんも、みんなのお役に立ちたいのにゃ!」
くんすかくんすか
お鼻をくんくんさせて、匂いを嗅いぎながら歩いています。
最近のにゃこさんは匂いで人が病気なのか、疲れて元気が無いのか何となく分かるようになっていました。
なのでお疲れで元気の無いもち三さんは、にゃこさんに発見されてしまいました。
目が合うふたり。
「………」
「………」
もち三さんは目の前にいるねこさんが、マメチュー先生の薬局でたまに見かけるねこさんだと気付きました。
どちらも互いに“見かけたことがある”程度の関係。
(あのねこさんに見られている。
何だかお弁当食べにくいなぁ)
にゃこさんは少しだけ人見知りが出ているようで、ジッともち三さんを観察しています。
もち三さんは食べにくそうにしながら、もごもごとお弁当の卵焼きを口に運びます。
「もごもごも…?」
するといつの間にか真横に、にゃこさんが座っていました。
もち三さんのお弁当に興味があるみたいで、覗き込んでいます。
(お腹が減っているのかな?)
ねこ飼いの人やパゴロウさんみたいに、ねこさんのお勉強をしている人以外は、人の食べ物をあげてはいけないとあんまり分かってはいません。
ねこの好物はねこまんまだと、未だに信じている人も多いようです。
にゃこさんも、もち三さんの前で“あーん”しちゃっています。
「仕方がないなぁ」
食べるのが大好きなもち三さんも、無邪気なにゃこさんに何かあげたくなってしまいました。
「どれが良いかな?唐揚げ?」
一生懸命ねこさんが、好きそうなおかずを選んであげています。
しかし…
「あれ?」
真横でお弁当の中をうかがっていたはずのにゃこさんが、今度は遠くに座っていました。
もち三さんはねこさんが何をしたいのが分からず、頭にはてなマークが出ています。
「??いらないの?」
「………」
にゃこさん、本人的には現在お仕事中。
あるがままに行動するのはやめて、我慢することを覚えました。
お仕事中につまみ食いしたなんてバレたら、まゆさんに怒られてしまうかもしれません。
(そうにゃ。
にゃこさんはあの男の人を、癒してあげなくちゃならないのにゃ)
一方、にゃこさんの行動の意味が分からないもち三さんは、自分で唐揚げを食べていました。
「美味しいのに…」
「!!?」
今度はもち三さんの膝の上に、にゃこさんが座っています。
「ふぇっ?なに?」
お食事中なのでちょっと邪魔です。
でもにゃこさんはにこにこ。
癒してあげていると思っているようです。
「ねこさん、お弁当食べてから遊んであげるから…」
「にゃ?そうにゃの?」
にゃこさんは素直に、少し離れてちょこんと座って待っています。
(か、可愛いんですけど…)」
続きます