前回のお話
にゃこさんとどろちゃんは決闘直前、迷子の赤ちゃん“ココアちゃん”を発見しました。
突然大きな声で赤ちゃんに泣かれ、戸惑うにゃこさん。
「どうしたらいいのにゃあ」
一方静かに赤ちゃんを観察していたどろちゃんは、赤ちゃんが泣き疲れて眠ったことに気付きます。
赤ちゃんが眠ったのをしっかり確認したどろちゃんは、そぉっと人を呼びに行くことにしました。
「にゃ」
残されたにゃこさんは、心細くなりながらも赤ちゃんを見守りつつ、観察します。
その後、すぐに目覚めた赤ちゃんは、先ほどのことは忘れたのか、にこにこしながら手をパタパタさせたり、転がったり、せわしなく動き回っています。
「にゃにゃ?」
赤ちゃんならではの予測不能な動きや反応。
にゃこさんは思わず目で追ってしまいます。
「にゃっ、にゃにゃっ!」
一方赤ちゃんの方もにゃこさんに興味津々。
にゃこさんが首を左右にふりふりしながら見てくるので、赤ちゃんの方も何やらじっと見ています。
「赤ちゃん、なんで動くんにゃ。何してんにゃ?」
にゃこさん、動く赤ちゃんを見ていたら楽しくなって、思わずしっぽをふりふり。
赤ちゃんそのしっぽをじっと見る。
そして興味本位で、にゃこさんのしっぽつかむ。
「にゃにゃ?」
「きゃきゃきゃっ」
「にゃまぁ」
「きゃっきゃっ」
「なにするんにゃ!」
にゃこさんしっぽを乱暴にお触りされるのは嫌いです。
だけど楽しそうにしている赤ちゃん。
また大きな声出されたら困ります。
仕方なくされるがままに。
にゃこさん、口をへの字にして必死に我慢。
「にゃくくくく」
赤ちゃんを泣かせないために。
「きゃきゃきゃ」
”もういやにゃ。赤ちゃんいやにゃあ”
“いやにゃわあぁ”
「にゃぶ、にゃぶぶぶ」
おや、どろちゃんの声がします。
「どろちゃん!?戻ってきたにゃ」
「あら、ココアったらこんなところに」
「ココアママもいるにゃ」
人探しに行っていたどろちゃん。
同じく迷子のココアちゃんを必死に探していた、ココアママをつれて来てくれたようです。
それは丁度にゃこさんが、ココアちゃんにしっぽを捕まえられていた時でした。
「ごめんなさいね。ねこさんたち」
「マーマー」
「もう、心配したじゃない。ホントびっくりしたわ」
「ああ、ママ。来てくれてよかったにゃ」
「ありがとうね。そばにいてくれたのね」
ねこさんたちは、お礼としてココアママにちゅーるを頂く。
「にゃわ、ちゅーるにゃ」
「にゃぶぶ!」
これはめったに食べられない、どろちゃんにとっては、すっごく豪華なごちそうです。
普段ひとりで暮らしているどろちゃんの主な食材は、昆虫等なのです。
「にゃふふ」
「ぶぶ♪」
喜んでいるねこさんたち、不意に目があってしまいます。
休戦中のふたりは、顔を見合わせてからプンとそっぽを向き合います。
そして背中合わせでちゅーる食べる。
美味しいちゅーるを、大切に食べる。
にゃこさんもなんとなく、どろちゃんのようにゆっくりと大切に食べる。
「おいしいにゃ」
「にゃぶっ」
「おいしいにゃわ」
「ぶぶっ」
赤ちゃんを大事にするといいことがある。
今日はそう学んだねこさんたちでした。
「赤ちゃん、大好きにゃ」
ミルクの匂い…大好きにゃ。
この日はこのまま休戦にすることにした、ねこさんたちでした。