マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

口にしてはいけない言葉

siriに聞いてはいけない言葉。

検索してはいけない言葉。

見聞きしてはいけない言葉…。


そんな呪いのような言葉が、この世にはあるという。



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「痒イワー」


冬は特に皿洗いをした後などは、強い痒みが出てしまうというナメ江さん。

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「マメチュー先生ノ所デ貰ッテキタ軟膏、塗ラナクッチャ。

ソウ確カ“アンテベート”ッテイウ薬」


強めのステロイド剤
先発名:アンテベート

「ソウコレ………!!!」

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トゥルルルルル…


「お電話ありがとうございます。
マメクスリカフェです。

わたくしまゆが承ります」



“アラまゆサン。
マメチュー先生イラッシャル?”


「ナメ江?
マメチュー先生なら今、患者さんの対応中でーす」


「ソウナノ…ネェ、まゆサン。
今迄使ッテイタ“アンテベート”ッテ薬ニネ。

何カ変ナノガ、書イテアルンダケド。
一体ナンナノカシラ?」



「何か変なの?」


「何ダカ長クテ、訳ノ分カラナイモノ」



「んーー?ああ。
それジェネリックだよ。

アンテベートと同じ薬」



「ヤダ。ソレ説明サレテタワ。

ナノニ思イ込ミデ、聞イチャッテテ…」



「そのジェネリックの名前、声に出して言ってみ?」



「声ニ?コレヲ」


「そう、それ。

かまずに三回言えたら願いが叶うよ」



「コレヲ三回?ソウナノ?」



「うん。それを三回言うの。

薬にもそういう伝説があるんだよ。

御神木を一周するたびに、寿命が一年伸びるみたいな」



「ジャア、三回言ッテミヨウカシラ」


「うん。言ってみ。

でも一回でもかんだら、舌が絡まって死ぬよ?」



「コレ言ッテ、カンダラ死ヌノ?」



「そうそう、早く言ってみて」



「モウッ!
まゆサンッタラ、サッキカラ嘘バッカリネ」



「そういうのいいから、言ってみてって!」



「まゆサンガ、言エナインデショ?」



「気付いた?
だからナメ江が上手く言えるか知りたいのっ!

あたしさ、巻き舌も出来ないんだよね。
出来る?巻き舌」

巻き舌を使って威嚇したいまゆさん。

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「ほらっ、言ってみてって!せーのっ」




【アンテベートのジェネリック名】

ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏



「ベタベタメタ?」


そうです。

スムーズに言える患者さんは、まずいません。



けれどよく処方される、ポピュラーなお薬。



薬剤師サイドだってなかなか厳しい、この薬品名。

やっぱりかんだら恥ずかしいですから…


言うとなったら緊張します。



和名で一番長い昆虫

カノウモビックリミトキハニドビックリササキリモドキ


よりも長い薬品名です。



何でこんなに長い名前にしたのでしょう…


書くのもめんどくさい。

口に出して言うのもいやなのに…

なぜこの名に?

挑戦されてる?


「なら、負けない!
受け入れてやろう」


そんな風にまゆさんが言っていました。