マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

ルーツ その2

前回のお話


ねこさんのルーツについて、てんまさんと話していたパゴロウさん。


「じゃあ薬学のルーツは?」



「薬学…。
わたしもそんなに詳しくは無いんだけど…

古代エジプトでは、紀元前1万年以上前から薬を使用していたって言われている。

メソポタミア地方では、紀元前3000年~5000年頃にシュメール人たちが、たくさんの植物から薬を作り出していたんだって」



「想像出来ないくらい昔から、薬は使われていたんですね」



自然界にある多くの植物の他、鉱物や昆虫、動物から薬用効果のあるものを見つけ出し、それを用いたとされています。


どんな病に効果的なのかその都度、実験する。



内服した方が効くのか、塗ったり貼ったりする方が効くのか色々試して薬を発見してきました。


でもなぜ薬になるものがあると、気づけたのでしょう。


そしてなぜ地球上には、ウイルスや細菌など病を発症させるものだけでなく、生物を治療するための薬があちこちに配置されているのでしょう。



たくさんの植物たちの中に、こっそりと隠されている秘薬。

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「まだ誰にも発見されていないお薬かぁ」



「植物自体は発見されていても、薬用効果のある部分はどこなのか、成分を抽出する方法は何なのか…

色々ためさなくちゃいけないしね」




(まだ見つかっていない秘薬があるのだとしたらどんな薬なのでしょう。

全てのウイルスに効く薬?

いくら食べても太らない薬?

それとも若返りの薬?

若返りの薬なら多くの女性は喜ぶかも。

いや、失礼だって思われちゃうかな?

シフォンは何歳なのかな?

寿命ってどのくらいなのかな?)



古代からずっと探し続けている秘密の霊薬。




「日本もそんな昔から、薬って使用されているのでしょうか?」



「千年以上から使われているとは思うけど。

ざっくり言うと、ねこさんが飼われだしたのと同じくらい前?」



日本現存最古の薬物辞典
“本草和名”


日本でも昔から薬の効果は知られていました。


しかし庶民が自由に購入出来るようになったのは、江戸時代くらいからだそうです。



「そういえば聞いたことあります。

水戸黄門の印籠って薬入れなんですよね?」




「そうだね。

それこそどんな怪我や病気にも効く、万病薬が入っていたんだって!

さすが黄門様だよね」



「お偉い将軍さまは何でもありなんですね。

ボクのご先祖様は冬の雪山に住んでいたそうだから、身分も何もありませんでしたが」



「何でもやって貰える将軍さまより、その方がどんな環境に陥っても強く生きていけるじゃない」


(ルーツ…
自分のルーツもそんなに詳しく知らないけど、身近な人のルーツも知らないなぁ。

例えばてんまさんがどんな町で、どんなご両親の元で、どんな風に育ってきたのかすらボクは知らない。

どこまで聞いて良いのかも分からないし。

家族構成くらいは聞いても良いかな?

そうだ、シフォンのルーツも知らないなぁ)



「でも色んなもののルーツも興味深いけど、今も大事だよ。

自分が自分の子孫に、誇って貰えるようにならないとね。

なんて、簡単には出来ないけど…」



「自分自身が誇ってもらえる存在に…」



「だから今はさ。
パゴちゃんが今大切な人のために、出来ることをしたら良いよ。
暖かいプレゼントやらを買ってあげるとかさ」



「大切な人?」


「シフォンさん?

ごめんね、さっきパゴちゃんのひとりごと聞いちゃった」


「あっあっ…はい…シフォン…」


パゴロウさんはやたらと照れてます。



「暖かいもの、それで気に入ってもらえるでしょうか?」



「相手の事を考えたら、自然と何が好きで何を欲しがっているか分かる。

だから暖かいものをあげようと思ったんでしょう?」




「はい、そうですね」


てんまさんはにっこりとこちらを見て微笑む。



その顔を見て改めてあげるプレゼントを決めたパゴロウさん。



(やっぱり暖かい毛布をあげよう!)

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