「パゴロウさん、今日もお疲れさまでした」
「マメチュー先生、お疲れさまでした」
パゴロウさんは仕事を終え、急いで帰宅の準備。
どうしたんだろう。
今日は何だか、早くうちに帰りたくなってる。
まだうちにいるかな?
いるよね?
パゴロウさんは、昨日からペットを飼い始めました。
そのペットの存在が今、すごく気になっています。
ごはんって何を食べるんだろう。
パゴロウさんが飼うことにしたペットは、突然家に現れた初めて見る不思議な生物でした。
そうだっ。
名前も決めてあげなくちゃ。
フフ。
どんな名前にしよう。
性別ってあるのかな?
今時のペットの名前…スイーツ系とか?
つぶらな瞳で、こちらを見つめてくるあの生物。
思い出すだけでほっこりする。
そして癒されている気もする。
生き物を飼うってこんな感じなんだ。
ペットを飼うといっても、突然家に現れた謎の生物との同居。
ひょっとしたらその謎の生物は、飼ってはいけない野生生物かもしれない。
細菌を保有していて感染する可能性があるから、触ってはいけない生物かもしれない。
それなのにそんなことは全く考えず…
謎の生物に恐怖を抱くことも無く、パゴロウさんはペットとして飼うことにしたようです。
ねこさんを飼っている人はこんな風にねこさんに癒されて、リラックスしてたんだろうなぁ。
………。
「わっ!!にゃこさん!」
帰宅を急いでいたはずのパゴロウさんは、途中で考え事に耽ってしまい、本日もこっそり薬局内に潜んでいたにゃこさんに、遭遇してしまいました。
見つかってしまったにゃこさんは、少し動揺をしたものの何事も無かったかのように、薬局を出ていきました。
どうやらにゃこさんも、まゆさんが待つおうちに帰る時間だったようです。
やっぱりまだねこさんが急に出て来ると、驚いてしまいます。
「パゴロウさん、大丈夫ですか?」
「すいません、大丈夫です。
ではお先に失礼します」
にゃこさんの姿が見えなくなったのを確認し、急ぎ足で帰路につくパゴロウさん。
あの不思議な生物と仲良くなれれば、ねこさんの扱いも上手くなれたりするのかな?
“にゃこさんは確か、セラピーキャットとして働いているんだよね”
動物の癒しのパワーによって、薬や手術では回復させる事が困難だった病気も、回復に向かわせる事が出来るという。
癒しのチカラで…
癒される、それってこんなあったかい気持ちになることなの?
おうちで誰かがボクを待っている、それを考えただけで心が暖かくなってくる。
そしてササさんやあの生物のために、元気で働かなくちゃと思う。
ボクだけじゃ無く、癒しを欲している人が他にもいるのなら、みんなを癒してあげて欲しいなぁ…
パゴロウさんは足早に歩いていたので、いつもより早く自宅に到着。
あの子、いるかな?いるよね?
「ただいまっ」
いたっ!!
ササさんにしがみついて、こちらを見ています。
何だかすごく安心しました。
まだうちにいてくれている。
とは言え昨日の今日なので、お互いほんのり距離はあります。
不思議な生物はこちらを見ているけれど、もちろんお出迎えまではしてくれません。
コミュニケーション能力は、どんな相手に対しても大切なんだなぁ。
相手に心を開いて貰うのは大事。
そして何より自分から心を開くのも大事。
いつか玄関までお見送りやお出迎えとか…
してくれたら嬉しいな。
不思議な生物の様子を見ると、相変わらずただそこに佇んで、こちらを見ています。
何だかクモみたいだなぁ。
都会に住んでいた頃よりは、ポ村に住むようになってからの方が、家の中で生き物を見かけることが多くなりました。
特にクモを見かけます。
害虫を食べに来てくれているのかな?
そう思うと比較的サイズが小さかった事もあり、無理に追い出すことはしませんでした。
傍から見ていると壁にくっ付いて、ボンヤリとしているように見える。
ボクの家で、寛いでいるように見えるクモたち。
それなのにクモに少しでも近寄ると、逃げて行ってしまう。
同居するのは良くても、近寄られるのは嫌。
そんな感じです。
今の所ボクと不思議な生物との関係は、クモとの関係に近いのかもしれない。
ねこさんの本にも、無理にねこと距離を詰めてはいけないと書いてあった気がする。
だから今はまだ無理に距離を詰めない方が、いい時期なのだと思います。
とりあえずお互いを知ることから、のんびりと始めようかな…