マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

不思議な生物

時折パゴロウさんは、ホームシックにかかります。


大学を卒業してからはポ村に引っ越し、初めての一人暮らし。


お仕事やお勉強で忙しいという以外にも、最近は新型の感染症が流行しているせいで、実家にはあまり帰れていません。


いつでも帰れると思っていた場所が、なかなか帰ることの出来ない場所になると、やはり恋しくなってしまいます。

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そんな時、ふと思い出すCMがあります。


うがい薬のCMに出ていたカバさん。


とってもほっこりするキャラクターです。


「あのカバさんが、家でこたつに入ってボクの帰りを待っていてくれたら…」


“ただいま”

“おかえり”

なんて…


そしたら寂しくないんだろうなぁ。


きっととても、あったかい気持ちになると思います。



「あれ?」


休日の今日は、午後からお勉強をしていたパゴロウさん。



何となく違和感を覚えました。


「このボールペン、こんな所に置いたかな?」



この所パゴロウさんは、感じていた事があります。


「やっぱり…」


ここ最近、家の中の小物が動いている気がする。



盗られてはいないと思います。


ただ、動いている。



ペン立てに置いておいたはずのボールペンが、机の上にある。


机の上に置いておいたはずのリモコンが、床の上にある。


床に置いておいたクッションも…
何だか動いている気がする…



これは怖い話なのかな?


カバさんがお留守番をしていてくれたら、真相を聞けるのに…
なんて考える。


ポルターガイスト?

それとも泥棒?

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盗むようなものはうちには無いし、そもそも何も盗まれてはいない。


生きている者の仕業でも、そうでは無くても気味が悪いです。



写真を撮って小物がホントに動いているかどうか、確認してみようかな?


ファサッ

「ん?」

ファサササッ


なんの音?


………ひょっとして、小物を動かしている犯人?



一応、身を守るものがないか見回してみます。


(傘とかどうかな?)

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「あっねぇササさん。
何か見なかった?」


パゴロウさんが育てている笹のササさんが、ファサファサと揺れる。


「んん?」


ササの鉢植えに………
何が置いてある。



あれは、何だろう。



鉢植えから何かが出て来ました。


小さくて不思議なフォルムの…
おもちゃ??


その不思議な何か…

身体はつるっとしており、頭にはモサッとした毛のようなものが生えていました。

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これ、何だろう。


目がバッチリ合っているように見える。


そして動いているように見える。


生き物?
見たこと無いけど…


ボクが知らないだけで、ポ村ではメジャーな生き物なのかもしれません。



初めて見る。
けれど怖くはありません。


むしろその不思議な生物を見ていると、ほっこりした気持ちになります。


まるであのCMのカバさんのようです。


目を合わせていても、全然怖くありません。



当たり前みたいにそこに佇んでいる、初対面の生き物。


こちらが見つめると、向こうも見つめてきます。



実はパゴロウさんはねこさんの目だけではなく、人間の目を見つめるのも苦手です。


でもこの生物となら目を合わせていても、平気でした。


つぶらな瞳で、こちらをまっすぐに見てきます。


向こうもボクを、怖がってはいないみたいです。


「ササさんと一緒にいると落ち着くの?」


「………」


不思議な生物は話しかけても、つぶらな瞳でただ黙ってこちらを見つめてきます。


この子が小物を動かしていた犯人?
触ってみたかったの?


言葉は分からないのかな?


それともやっぱり、警戒されている?


でも、可愛いかも…

すごく可愛いかも!







突然ですがボク、パゴロウは不思議な生物と今日から一緒に住むことになりました。