マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

秋の味覚・銀杏 その3

前回の続き

11月の日曜日の午後、マメチュー先生は三すくみの人たちのお手伝いをするため、一緒に銀杏拾いをしています。

その頃、てんまさんは具合が悪くなって倒れているもち三さんと遭遇していました…




「マメチュー先生すげぇ!銀杏拾い名人!」


「一番拾ッテラッシャイマスネ!」


マメチュー先生たちは、みんなでたくさんの銀杏を拾いました。


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「誰が一番拾ってるにゃ?」


「にゃこは余計な事を聞かなくて良い」


「何でにゃ」


もちろん途中からにゃこさんと遊びだしてしまったケイヒさんが、一番銀杏を拾えていません。


「私ノ方ガ拾エテルワ」


「ぬっ…」


いつもかぶれたりするのが怖くて、怯えながら銀杏を拾っているナメ江さんも、触角を使って意外とたくさん拾えたようです。 


スネ文さんも舌にカバーを付けて、器用に拾っていました。



「これはもう食べれるんにゃの?」


「まだですよ」


拾った銀杏はこの後、種を取って洗います。


種が取れにくい種子は、数日間水に浸けておきます。


その後は風通しがいいところで乾燥させる。


そしてようやく食べる事が出来るのです。



「大変にゃあ」


「大変ですよ。
苦労してやっと美味しい銀杏が食べられるんです」



もちろんこれらの収穫後の作業は、臭ってしまうのを防ぐため、室内ではなく外で行います。



「もうだって、手袋が臭ぇもん」


「お手々にうんちついてるにゃ」


「なんだよ」


「なんにゃさ」


「触ったろか」


「にゃきゃっ」

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「都会のマンション住まいの人とかは外で作業するって言ったって、この作業やるの難しそうですよね。

一軒家でも隣近所には臭うだろうし…」



「銀杏を土の中に埋めておくと臭いがとれるらしいですけど、埋める場所もなさそうですものね」


「自分の庭じゃなくも埋めといていいんですかね?」


「種子って勝手に埋めたらよくなさそうですよね。

そこから芽が出て来てしまうかもしれないですしね」


「たしかに」


***************

てんまさんはくまじろ先生の医院に着く前に、もち三さんから具合が悪くなった原因を、聞いておくことにしました。


食事が原因かな?



吐き気を伴う病気は多いので、それだけで原因を特定するのは難しいのです。


むやみに吐き気止めの薬を、服用させる訳にはいかない…


“まず吐き気以外に症状がないか確認”



「吐き気以外に症状はありますか?」



「ええと…そのぉ」


「はい」


薬剤師もこうして問診を行う事があります。



「えっと…その…お恥ずかしいのですが…」


「はい」


「お腹の方も…ちょっと下していて…」


てんまさんが歩いている辺りは、風に乗りイチョウの葉が舞っていました。


ちょうどどこからか、便のような臭いがしてくる。



「わっ!臭っ、いや…でも私、漏らしては…」


「もし漏らしてしまっても大丈夫です。

下痢したら誰だって漏らします。
私も漏らします!」


「いやいや…」


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吐き気プラス下痢かぁ…
やっぱり食中毒?



「ここ最近お食事は何を召し上がりましたか?」


「ええっと………ふぅ…」


何だかホントにつらそう。
大丈夫かな?


質問されながらもち三さんは、悔しい思いをしていました。


(ああ…美味しかったのになぁ…
全部出しちゃったなぁ。もったいないなぁ)


気持ちが悪すぎて胃の中のものを全部吐き出したい気持ちと、お昼ごはんが美味しすぎて出してしまうのがもったいない気持ちが交錯しているもち三さん。



残業続きで毎日疲れていて、昨日も土曜日出勤…


その分、週末のご飯を楽しみにしていた。


それを全部出してしまうなんて…


次回へ続きます