マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

非常勤の先輩薬剤師

まゆさんお目覚め。

 

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起き抜けのためボンヤリしてます。


西洋の薬草“フェンネル”をマメチュー先生に届けるんだっけ?


何に使うのかな?


魚料理するんかな?

それともスープ?サラダ?


そういえばマメチュー先生に電話したら、なんか変なのが電話口に出てたっけ…


あれが前にマメチュー先生が言ってた“新人薬剤師”……


“控え目で真面目な方です。
そしてとても繊細でいらっしゃいます。
冗談でも、からかったりするのは控えてあげて下さいね”


まゆさんはそんな風に、マメチュー先生から念押しされていました。


自信ねぇなぁ…………


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初めてお会いする方にはやはり、緊張しちゃいます。


今日は村に“カゲ”も出てきている。 


イヤな事が起こるかもしれません…


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しかしパゴロウさんはあまり“カゲ”に影響は受けません。

 
主にパゴロウさんは、自分が迷惑をかけてしまう可能性がある相手に、緊張してしまうのです。


カゲの存在なんて、どうでもいい。

気にしません。


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研修中に出会った“ベテラン女薬剤師”みたいな人だったらどうしよう…

(何も仕事をせず、部屋の奥に閉じこもっていただけの人)

 

一方その頃、昨晩夜更かしした為、まだベッドの上でボンヤリ中のまゆさん。


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まゆさんは、うつらうつらしながら


“なぜ人は1時間寝ただけでは睡眠が充分にならないのか”

を考えていました。


いつまでも頭がスッキリしないのは、もしかしたら“カゲ”の影響を受けているからかもしれません。




“新人のボクが遅れちゃダメだ”


現在その事で、頭がいっぱいのパゴロウさんとは、違う事で頭がいっぱいみたいです。


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緊張が原因で、パゴロウさんは本日朝ご飯抜き。


職場に向かう為、必死で歩いていたら顔が赤くなり、足元がフラついてきているのを感じるパゴロウさん。

 

体調が少しずつ悪くなってきてしまったようです。


はぁ…ふぅ…ひぃ…


ぼ~っとしながら空を見上げると、何かが舞っているのが見えました。

 

(何だろうあれ…
なにか声も聞こえるような…)


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歌声…

 

天使の歌だ。


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「ばいばい、ポポさん

ありがと、ちょっと元気出た」

 

鳩にお別れの言葉を告げた、てんまさん。


てんまさんは“カゲ”に心を支配されないように、元気を出すため歌を歌っていたみたいです。

 

パゴロウさんは歌声の主であるてんまさんに、見つめられていることに気付かず、飛び去った鳩を見つめていた。


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鳩の羽根が舞い落ちる中、パゴロウさんは目を閉じる。

 

そしてそのまま、倒れ込みそうになってしまう。

 

(ああ、困ったな。
倒れている訳にはいかないのにな)


その時、首筋がヒンヤリする。

「?」


「大丈夫ですか?」


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パゴロウさんが目を開けると、見知らぬ女性が心配そうにこちらを見ていた。

 

(どなた?
…っていうかくまじろ?
叔父さん!怒られるっ!)

 

「だ、大丈夫です。
いつもの事なんです」

 

「…お水」

 

「え?」

 

「どうぞ。あそこの木の下。
少し休みましょう」


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お水を飲んで少し休むと、徐々に体調が戻ってきました。

その間もずっと側にいてくれた見知らぬ女性。


「パゴロウさん?」

 

「?!」

 

パゴロウさんはその女性に突然名前を呼ばれ、驚いてしまいました。

 

「は、はいっ」

 

「やっぱり。
私てんまと言います。
マメクスリカフェでお仕事させて貰っています」

 

「あ!」
(今日出勤する非常勤の)

 

「パゴロウと申します。」

 

「同僚になりますね」


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てんまさんの優しげな笑顔に安心し、パゴロウさんは熱がすーっと下がっていくのを感じる。

 

「ご迷惑かけることも多々あると思いますが、よろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします」


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マメチュー先生はパゴロウさんとてんまさんが、一緒に出勤したことに驚きながらも、にこやかに迎えてくれました。

 

朝の開店前は、皆で一緒にお掃除です。

朝の穏やかな時間。

 

その場にいる皆の雰囲気が、より柔らかな空気を醸し出しています。


まだ開店前ですが、お店の前に何かの気配が…

(患者さん?)


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まゆさんの所のにゃこさんでした。

二度寝をしてしまったまゆさんの代わりに、フェンネルを届けに来てくれたみたいです。


(!!!)

にゃこさんを見たパゴロウさんは、掃除道具を投げ出し、血相を変えてその場を離れていきました。


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「ね、ねこ…」

 

震えるパゴロウさん。


まゆさんの伯母同様、パゴロウさんも猫さんが苦手みたいです。

 

(ああ…こっちを見ている。
あの目が怖い…………)

 

幽霊も、雷も、高所も平気なパゴロウさんですが、猫さんは怖いんだそうです。


にゃこさんは、何だか分からないまましょんぼり帰って行きました。

 


パゴロウさんは猫さんを見たショックと、猫さんを傷つけたショックで落ち込んでしまいました。


それでもピッキングをしたり、得意の電話を受けたりと、パゴロウさんは懸命にお仕事。

 

しかしカゲが出現した日は、患者さんはすこし減少します。

 

しかも今日は土曜日なのでお店はお昼まで。

 

「皆さん、今日はランチの後、音楽会をやりませんか?」

 

「音楽会?」

 

マメチュー先生が楽しそうな提案をしてくれました。

 

みんなでマメチュー先生お手製の、フェンネルを使った魚料理をご馳走になった後、音楽会を開催。


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てんまさんの透き通った歌声。

 

マメチュー先生のほっこりとするピアノ演奏。

(こんなに心が落ち着く時間があるんだ)

楽しいな…

 

気が付くと、村の中を彷徨っていたカゲがいなくなっていました。