ジメついた日々が続く今日この頃。
雨の日は患者さんが少なくなる為、少し手があきます。
そんな中、ジメが好きなナメ江さんとフロ次さんは仲良くお散歩。
お散歩ついでに二人はマメチュー先生の薬局へ。
そこには既にトビーくんが遊びに来ていました。
どうやら家の中でジッとしているのに、飽きてしまったみたいです。
そんなトビーくんの遊び相手をしているのは、非常勤薬剤師のてんまさん。
彼女は今日みたいに手があく時間を利用し“患者さんノート”をちょこちょこ作成。
患者さんの事は“薬歴”にも記載しますが、個人的にも患者さんの事を書き記しているようです。
「これなにー?」
「うん?ふせん?」
「このにゃこのお手々みたいなやつ」
「それね、ハンコだよ。作ったんだ。消しゴムハンコ」
「ハンコ?それ欲しい。トビーくんも欲しいっ」
「じゃあ一緒に作る?」
「作る-」
「楽しそうですね」
そんな二人の為に、飲み物を用意してくれたマメチュー先生。
「ではそのハンコで、薬袋のデザインをしてくれませんか?」
「うん、でざいんする-」
「ではトビーくん、まずは消しゴムの粉を落とします」
「お粉?お粉とる-。やばい粉-」
とっても楽しそうに作業する二人。
ハンコ作成中の二人を、興味津々で見つめるナメ江さん。
ビチョビチョになってしまった消しゴム。
「あー、もうナメ-…ビチョになった~
後で遊んであげるからちょっと待っててぇ」
「マァ、ゴメンナサイネ…」
ショボンしたナメ江さんは、大人しく見つめる事にしたようです。
「じゃあトビーくん、次はトレーシングペーパーに消しゴムを重ねて、軽くてこすります」
「うんっ、わかった」
しかし、再び背後に気配を感じる……
作業を近くで見たくて仕方のないナメ江さん。
「もうっナメってば!ビチョになるからやめて!」
「アアア、無意識ニマタ…
本当ニゴメンナサイ」
ナメ江さんは、反省して少し距離をおいて二人の作業を眺める事に。
「どお?トビーくん上手に彫れてる?」
「うん、トビーくん上手-」
「あ、すごいっホントだねぇ」
「ほら、見て」
「アラ、ステキ」
「お上手ですね。ひょっとして私の顔ですか?なんか照れくさいです」
「じゃあ、試し押ししてみようか」
「ためし押し-」
薬袋を探すてんまさん。
今日は試し押しは諦めました。
「シクシクシク」
「気にしないで、ナメ江さん。患者さん用のは別にちゃんとありますから。ね?」
ビチョビチョ薬袋はしっかり干して乾かします。
「マメチュー先生、この薬袋使うんですか?」
「はい、知人のポあねさんに使い方のアドバイスをして貰ったんです」
かつて市の薬剤師会の理事を務めていたポあね。
そこでは町の皆さんに、薬の正しい服用方法を広める活動をしていました。
市の薬剤師会では、学祭等に出向き子ども薬局を出展する事もあったそうです。
「子どもさんに薬剤師体験をして貰ったらどうですか?薬袋はそこで使用するとか」
「それは素敵ですね。お薬の事も学んで貰って薬袋も無駄にしない」
そんなアドバイスをうけたマメチュー先生は、早速行動。
薬袋シワシワバージョン。
処分することなく、子ども薬剤師たちに使って貰う事にしました。
子どもたちと一緒に薬のお勉強。
最後にシワシワ薬袋を渡します。
中味は本物のお薬ではなく、色とりどりのお菓子。
「お菓子だぁ。でもこのお薬の袋シワシワ…」
「あ、でもこのハンコかわいい」
「へへ、やっぱり?それね、トビーくんが作ったんだ」
「そうなの?すごいねぇ」
「すごいでしょ?今度みんなで作ろ-」
「うん!」
子どもたちの楽しそうな姿に、癒されるマメチュー先生。
ですがお菓子や消しゴムハンコに、より夢中な子どもたちの様子。
マメチュー先生そういうの、気付きます。
ちょっと寂しく、思います。
「今度はもっと、お薬にも興味を持って貰えるようにしないとですね」