マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

プレアボイド・漢方薬の副作用 その2

前回のお話

処方箋の有効期限が切れそうなため、慌てて出先で見つけた初めての薬局に立ち寄ったナメ江さん。


そこはイチイさんの調剤薬局でした。

初めての薬局で少し緊張気味のナメ江さんの服薬指導にあたったのは、オウギさんの後輩薬剤師のロクジョウさん。



ナメ江さんのお薬手帳を確認すると、以前から鼻水に効く漢方薬を服用し、別の医療機関で今回は喉に効く漢方薬を処方されていました。



そして心疾患の持病がある女性。


「ナメ江さんこんにちは、薬剤師のロクジョウと申します」

「アノ質問、イイカシラ?」


「えっ、あ、はい。質問ですね。なんでしょう?」



「血圧ノ事、ナンデスケド」



先ほどこの薬局で血圧をはかったナメ江さんは、血圧が普段より高かったようです。

そのことが気になって、薬を服薬しても大丈夫なのか心配になったらしい。




「そうですね…血圧…気になりますよね。かかりつけの先生に聞いてみるといいと思います」

ロクジョウさんは小さな声で優しく教えてくれました。


「先生?ハイ…ソウシマス」




(ソウダワネ、先生ニ…)



しょっぱいものを食べ過ぎたのよね。

最近は漢方薬も飲んで、健康的に過ごしていると思っていたけれど。


 

ナメ江さんはなんだか、塩をぶっかけられたみたいに溶けかけてしまっています。

そこに都合よく、イチイさんがひょっこり現れました。




いつの間にか様子をみていたようです。



「こんにちは、ナメ江さん」

「?コンニチハ」



イチイさんは安心させるよう、笑顔で挨拶してからお薬手帳を確認しました。



「血圧が高くなっていたとのことですが、最近気になる症状はないですか?」



「気ニナル…」


「たとえばむくみやすくなったとか、体重が増えたなど」



「むくみ。そう、気になっていたのよ。むくみ。体重ははかっていないけれど」



「そうですか」



ナメ江さんたちの話が聞こえていたオウギさん。



(何かあったのかな?)



【お薬手帳に記載されていたナメ江さんに処方されているお薬】

桔梗湯:喉の腫れや扁桃腺周辺の痛みに効果的。乾燥や咳で傷んだ喉を改善

小青竜湯:アレルギー性鼻炎や、水のような鼻水に効果的




この2種類の漢方薬には、どちらも甘草が多く含まれています。


そのため同時に服用してしまうと…


ナメ江さんのようにもともと心疾患があると、低カリウムで致死的な不整脈を起こすことがあります。



(2箇所の医療機関から、処方された漢方薬を併用しているのか)


患者さんの中には、漢方薬にも副作用があることをあまり認識しておらず、医師に漢方薬を他にも服用していることや、お薬手帳も見せずにいる方も多いようです。


この患者さんは、お互いの先生には伝えているのだろうか?

次回へ続きます