「ハァァ…」
「フゥゥ…」
ナメ江さんはため息をつきながら、全力で後悔をしています。
どうやらまた、不安に思うことがあるらしい。
心配性で不安症のナメ江さんには、尽きない悩み。
「アア、ヤダワ。ドキドキ、スルワ。
新シイ場所二、行クノッテ、ドウシテコウ、緊張スルノカシラ?」
新しいことを楽しめる人って、本当にすごい。
ナメ江さんはいつもそう感じています。
彼女は新しい出来事に直面するのが、とても苦手です。
少しいつもと勝手が違うだけで、変なことをしてしまわないだろうか?
嫌な人に会ったり、嫌な目に遭うことはないだろうか?と、不安に思ってしまう。
そんなナメ江さんが、行かなきゃいけないという新しい場所とは…
今日は都会へ買い出しに出ていたナメ江さん。
途中で思い出したことがありました。
「ヤダ、ソウイエバ私…」
薬を受け取りに行かなければならなかったのに、調剤薬局に行けていなかった。
いつもはすぐに受け取りに行くタイプなのですが、たまたま忙しい時期と重なってしまいそのまま忘れてしまったようです。
「忙シカッタトハイエ、ドウシテ、忘レチャッタノカシラ?」
思い出したかのように、再び猛烈な後悔。
ナメ江さんは新しい薬局に行くのは緊張するから、やっぱりマメチュー先生の所へ、などと考えあぐねています。
でも今の時間から行くと、閉店時間には間に合いません。
とはいえ今日中にお薬を、受け取らないといけない。
処方箋の有効期間は発行日を含めて4日間
期間を過ぎてしまうと、医療機関で再発行をしてもらう必要があります。
再発行は健康保険が適用されないため、費用は全額自己負担になる。
診察を受けてから時間が経過してしまうと、症状が変化している場合があるため、再診察を受ける必要があるのです。
ちなみに処方箋の日付の改ざんは違法です。
どんな薬にでもリスクがあるので、薬を自由に受け取れないようにするため、法令で定められています。
処方箋を偽造・変造し医薬品を不正に入手する事例は、実際にあることなのです。
「今日中ニ薬局、行カナクチャダケド」
きっとマメチュー先生は時間が多少過ぎても、対応してくれると思うけど、それに甘えて迷惑かけたくない。
緊張するけれど、さすがにお薬をもらえない方が不安。
だから調剤薬局には、今日中に行かなければならない。
やはりこの辺りで、お薬をもらうしかなさそうです。
「ドノ薬局ガ、良イカシラ?入リヤスソウナ所」
ナメ江さんはこのところ、喉に違和感がありました。
この時期、新型コロナだと勘違いされたくないため、喉用の薬として「桔梗湯」という漢方薬を処方してもらっていました。
ナメ江さんは、人より乾燥に弱いみたいです。
乾燥大敵。
潤った肌を保たなければならない。
喉のケアも必須です。
ナメ江さんは昔。
喉の痛みを放置してしまったため、喉に針金が突き刺さっているのかと思うくらいの痛みに、悩まされたことがありました。
いつもは意識していない、つばを飲み込むという行為。
その時はそんな単純な動作すら、喉が痛くて物凄くつらい。
痛過ぎてじっとしていることすらできない。
つばを飲み込むのも嫌で、都度出してしまおうかと思うくらいでした。
少しでも痛みを緩和させようと飴玉を常に舐めていたら、今度は気持ち悪くなってしまう…
またあの時みたいな、辛い症状が出たらどうしようという恐怖。
そんなナメ江さんの目に、調剤薬局が目に入りました。
「アラ…」
「広クテ入リヤスソウ」
良い薬剤師さんがいると良いのだけれど…