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……。
あら?どなたかと目が合いました。
この方は、ポ村に住む人見知りの妖精、シルプさん。
彼女は”惚れ薬”とやらが欲しいそうでこうやって時折、様子を伺いに来ます。
妖精さんといえども、不思議な薬を作ることは出来ないみたい。
しかし残念ながらマメチュー先生の薬局では、惚れ薬の入荷の予定はありません。
「シルプさん、おはようございます」
マメチュー先生は、柔らかい声で朝のご挨拶。
一方、挨拶をされたシルプさんは、樹木の後ろにササッと隠れてしまいました。
妖精の少女であるシルプさんは森の動物たち同様、人間に対して少し警戒心があるようです。
彼女が行っているのは、お花での恋占い。
可愛いですね。
彼女はどなたかに恋をしているのでしょう。
生花をちぎるのが嫌みたいですね。
花占いは、いい結果が出るまで永遠とやります。
そんなシルプさんはここ最近、顔色が優れないようです。
そのことに気付いているマメチュー先生は、とても心配。
ですが彼女はマメチュー先生が直接話しかけても、ススッと逃げてしまいます。
彼女が心を開く数少ないお友達の木じじい。
彼から聞いた話によると、あまり食欲が無いそうで、ほとんどご飯を食べていないとのこと。
大丈夫なのでしょうか。
「こんにちは」
マメチュー先生は、正午過ぎに再び見かけたシルプさんに、今度はお昼のご挨拶。
警戒心の強い動物たちも、よく見かける人間のことは覚え、危険でないと判断した場合は、そこまで警戒しなくなることがある。
なのでマメチュー先生は、見かけるたびにシルプさんに優しく声を掛けるように心がけています。
何度か出てきていますが、いわゆるザイオンス効果(単純接触効果)というやつです。
何度も接触することで患者さんの心を開いたり、弱っているねこさんと仲良くなってご飯を食べに来てもらえるようになった過去が、マメチュー先生にはあったのです。
彼女を心配しているマメチュー先生は、食欲がないというシルプさんに少しでもご飯を食べて欲しいようです。
シルプさんの心を開くのは、なかなか難しいみたい。
シルプさんに近づけないマメチュー先生は、食欲が増すようないい香りのする食事を作っています。
香りに誘われて、シルプさんの方から訪ねてくれるよう工夫しているのです。
花が香りを出して、昆虫たちを引き寄せるのと一緒。
けれども、今のところはうまくいっておりません。
「困りましたね。このまま食事をとらないでいたら、体調を崩してしまうでしょうに」
何かいい方法はないでしょうか。
続きます