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前回のお話
信号待ちでイライラしてしまうような、そんなせっかちな性格が原因で、指をケガしたというまゆさん。
USAさんはまゆさんに消毒薬を渡そうとしますが、なぜかマメチュー先生に取り上げられてしまいました。
「今は消毒薬を使う必要はないんですよ。水で雑菌を洗い流すだけでいいんです」
「ええー、嘘ですよぉ。昔からケガをしたら、消毒はするものと決まっていますもの。毛を剃ったら濃くなると言われてますもの」
「毛を剃っても濃くならないよ。年寄りはそうやって考え方が凝り固まる」
「まゆちゃん、今の誰の事?」
「USA、赤チン世代でしょ?」
【赤チン:マーキュロクロム液】
マーキュロクロム液という殺菌消毒液が赤かったので、赤チンと呼ばれていました。
昔は学校の保健室に必ずあった消毒薬。
【 湿潤療法 】
傷口から出る体液は、皮膚を再生させる大切な成分です。
「傷口を清潔にし、そこから出る体液(滲出液)を保ったほうが痛みが少なく、傷は早く治る」というのが湿潤療法の考え方です。
消毒薬は皮膚の細胞にダメージを与えて、かえって治りを悪くする場合があるのです。
今は湿潤療法用の傷口の潤いを保つ絆創膏も色々とあります。
消毒液が必要な傷である場合もありますが、自分で判断がするのは困難なため、痛みがひどい時は消毒をする前に病院を受診しましょう。
他にも大きな傷や深い傷、咬み傷、刺し傷、傷口が化膿している場合も病院に行った方が良いでしょう。
滲出液はサラサラとして透明〜薄黄色ですが、化膿している時に出る膿は黄色〜緑色でドロっとし、臭いがあり、ズキズキした痛みがあります。
「でもやっぱり、消毒したくなっちゃうかも」
「まぁ確かに昔っから言われていた常識を、今更違うって言われても困るけどね」
今は違うけど、昔は常識とされていたものといえば…
・白髪を抜くと増える
・うさぎ跳びをやらせる
・練習中に水を飲んではいけない
・時間が経ってから筋肉痛がくる場合は、年寄りの証拠
・女の子は可愛いものが好き他…
「大昔の話で言えば、医学も科学もよく分かってなかったから、病気の治療も神頼みをしてたよね。それはもう本気で信じて。でもさぁ、今はネットで調べればすぐわかる。調べて見なよ。”湿潤療法”のことをさ。今の常識として書いてあるから」
「そうなんだろうけど…なんかね。やっぱり信じがたいんだよね」
「まだグズグズいうか」
「あたしって思ったより、変化に対して臨機応変に対応できずに、時代に取り残されるタイプなのかしら」
「別にUSAはUSAの好きにするがいいさ。そんで傷をこさえるたびにいつまでも治らず、あちこち傷跡を残して村の子供に”傷まみれおばさん”というあだ名を付けられるといい」
「マメチュー先生、実験してもいいですか?まゆちゃんの傷に消毒を塗り続けて、なかなか治らなかったら”湿潤療法”信じます」
「USAさん、もちろんだめですよ?」