マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

湿潤療法 その3

⚫︎本物語を最初からご覧になりたい方はこちら

⚫︎物語の概要をご覧になりたい方はこちら

前回のお話

信号待ちでイライラしてしまうような、そんなせっかちな性格が原因で、指をケガしたというまゆさん。

USAさんはまゆさんに消毒薬を渡そうとしますが、なぜかマメチュー先生に取り上げられてしまいました。

「今は消毒薬を使う必要はないんですよ。水で雑菌を洗い流すだけでいいんです」

「ええー、嘘ですよぉ。昔からケガをしたら、消毒はするものと決まっていますもの。毛を剃ったら濃くなると言われてますもの」

 

「毛を剃っても濃くならないよ。年寄りはそうやって考え方が凝り固まる」

「まゆちゃん、今の誰の事?」

「USA、赤チン世代でしょ?」

 

【赤チン:マーキュロクロム液】

マーキュロクロム液という殺菌消毒液が赤かったので、赤チンと呼ばれていました。

昔は学校の保健室に必ずあった消毒薬。

【 湿潤療法 】

傷口から出る体液は、皮膚を再生させる大切な成分です。

「傷口を清潔にし、そこから出る体液(滲出液)を保ったほうが痛みが少なく、傷は早く治る」というのが湿潤療法の考え方です。

消毒薬は皮膚の細胞にダメージを与えて、かえって治りを悪くする場合があるのです。

今は湿潤療法用の傷口の潤いを保つ絆創膏も色々とあります。

消毒液が必要な傷である場合もありますが、自分で判断がするのは困難なため、痛みがひどい時は消毒をする前に病院を受診しましょう。

他にも大きな傷や深い傷、咬み傷、刺し傷、傷口が化膿している場合も病院に行った方が良いでしょう。

滲出液はサラサラとして透明〜薄黄色ですが、化膿している時に出る膿は黄色〜緑色でドロっとし、臭いがあり、ズキズキした痛みがあります。

「でもやっぱり、消毒したくなっちゃうかも」

「まぁ確かに昔っから言われていた常識を、今更違うって言われても困るけどね」

 

今は違うけど、昔は常識とされていたものといえば…

・白髪を抜くと増える

・うさぎ跳びをやらせる

・練習中に水を飲んではいけない

・時間が経ってから筋肉痛がくる場合は、年寄りの証拠

・女の子は可愛いものが好き他…

 

「大昔の話で言えば、医学も科学もよく分かってなかったから、病気の治療も神頼みをしてたよね。それはもう本気で信じて。でもさぁ、今はネットで調べればすぐわかる。調べて見なよ。”湿潤療法”のことをさ。今の常識として書いてあるから」

「そうなんだろうけど…なんかね。やっぱり信じがたいんだよね」

 

「まだグズグズいうか」

「あたしって思ったより、変化に対して臨機応変に対応できずに、時代に取り残されるタイプなのかしら」

 

「別にUSAはUSAの好きにするがいいさ。そんで傷をこさえるたびにいつまでも治らず、あちこち傷跡を残して村の子供に”傷まみれおばさん”というあだ名を付けられるといい」

「マメチュー先生、実験してもいいですか?まゆちゃんの傷に消毒を塗り続けて、なかなか治らなかったら”湿潤療法”信じます」

「USAさん、もちろんだめですよ?」



にほんブログ村 猫ブログへ
にほんブログ村