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前回のお話
誰かに恋をしているらしく”惚れ薬”を欲しがる妖精の少女、シルプさん。彼女は最近顔色が悪く、あまり食事をしていない様子。心配するマメチュー先生ですが、森の動物たち同様、人間に警戒をしているようで、近寄ると逃げられてしまいます。
どうしたらシルプさんは、警戒心を解いてくれるのでしょう。しっかり食事をして元気になったもらいたいのですが、なかなか心を開いてくれない妖精の少女。
彼女が求める”惚れ薬”になにかヒントがあるのでしょうか?
子どもというのは親や先生に言われたことは素直に聞かないのに、好きな人に言われたことは好意を持ってもらいたいがため、素直に聞いたりするものです。
”好きな人の力”というのは魔法のように、簡単に人を動かせたりする…
でも今のところマメチュー先生に出来ることは、シルプさんを見守るだけ。
「あっ…」
シルプさんは突然、マメチュー先生の目の前で倒れてしまいました。
慌てて駆け寄るマメチュー先生。
「シルプさん、大丈夫ですか?シルプさん?」
……。
ポ村の冬は寒いですが、あちこちにちいさな温泉が湧いていて、近くにいるとお湯につからなくても温泉の蒸気により、暖を取ることが出来るのです。さらにその温泉を利用し、食材を温めることも出来る。
シルプさんは栄養不足によるめまいで、フラついてしまったようです。
食事をしていなかった原因は、どうやら恋煩いのせいみたいですね。
これはフェネチルアミンという成分のせいです。一応、天然の惚れ薬と呼ばれています。
フェネチルアミンには食欲減退作用があり、これを利用して食欲抑制剤も作られています。
前にアーティストに恋をしていたマメチュー先生の知人が、フェネチルアミンの効果で自然と体重が落ちていったそうです。当時知人は”恋愛ダイエット”に成功したと、喜んでいたとのことです。
「シルプさん、どうぞ。温泉卵です」
卵は完全栄養食。
マメチュー先生はようやくシルプさんに、少しですが食事をしてもらえました。
もそもそと食べているシルプさんですが、表情がなにやらコロコロ変化しています。
微笑んだと思った次の瞬間、今度は悲しそうな顔をしている。
どうやらふとした間があると、好きな人のことを思い出してしまい、もどかしい感情を抱いてしまうみたいなのです。
そんな落ち着かないシルプさんに、マメチュー先生は卵と牛乳を使ってミルクセーキを作ってあげました。
とろっと甘いミルクセーキ。
卵に含まれるビタミンBは、疲れをとってくれます。
これで少女の繊細な心が少し、落ち着いてくれるといいのですが…
別の日
あれから温泉卵を気に入って、自分で温泉卵を作りに来ているみたい。
ちょっとは心を開いてくれたのでしょうか。
妖精の少女シルプさん、これから色々と悩むこともあるでしょうが、頑張ってほしいものです。