前回の続き
今は秋のきのこの収穫時期。
まゆさんとてんまさん、にゃこさんはきのこ狩りに来ました。
それなのにまゆさんは、きのこ狩りは楽しいけどきのこはテンションが上がるほど美味しくはない言い出します。
「きのこのマリネとかさ、みそ汁に入ってるきのことか。
なんか微妙じゃない?
ダイエット用の食事って感じ」
「そんなことないけどなぁ。
それに肉厚のしいたけとか、焼いて醤油垂らして食べるの美味しくない?」
「確かに!」
「確かに?」
「にゃこも好き!」
注)
ねこさんもきのこは食べられます。
ただ消化できないので、細かく刻んで与えましょう。
「最近になってから、焼きしいたけのうまさに気付いた!」
「しいたけの味は嫌いじゃないんだ?」
「焼きしいたけ以外は好きじゃない。
炒め物とか…」
「…じゃあ、しいたけの肉詰めは?」
「好き!あれは好き!」
「天ぷらとか」
「良いね!」
「ふうん。
ヘルシーじゃなければいいんだ?
揚げたりお肉を付けたり…」
「そうかも!」
「でも今日はしいたけ見つからないだろうなぁ。
ほか…きのこ鍋とかは?
お肉と一緒に食べるの」
「いいじゃん、いいじゃん!
ポン酢つけて食べよう!」
「食べるの楽しみになってきた?」
「なってきた!」
「きのこよりお肉に頭がいってるでしょう」
「にゃ!」
「ん?」
にゃこさんが急に声を上げました。
辺りをふわふわした植物が舞う…
「苔の森?」
「あたし苔好きっ」
「休憩してくか?」
「にゃしっ」
ポ村にある色んな種類の苔が生えている苔の森。
ふっかふかの苔の上に乗っかって少々休憩です。
「また、すぐきのこ探しだからね!」
「にゃしっ」
にゃこさんも苔が好きみたいです。
苔の森にいると、森林浴のようにリラックス効果があるので、ここまでやってきて寛いでいるポ村の住人をたまに見かけます。
そんな中てんまさんは、リラックス所か張り詰めた感じで、何かを凝視していました。
(あの生物何だろう…)
何だかポケッとしていて危険は無さそうだけど、見たことが無い生物がこちらを見ています。
(まゆちゃんに話した方が良いかな?)
まゆさんは度胸があるところと、怖がるところがてんまさんから見ると両極端です。
幽霊も、高いところも、ホホジロザメも平気ですが、小さい虫が苦手です。
縁側の下に生えるきのこもダメ。
てんまさんがチラリとまゆさんの様子を見てみると、苔の上に座ってリラックスしていました。
(話すのは後でで、いいかな…)
「てんま、やっぱ苔は良いねー
見てても癒されるしさぁ
触っても気持ちいいよね」
「にゃふっ」
にゃこさんも嬉しそう。
「苔ぽのこ無いかなぁ」
ぽのこ以外にもポ村には、苔ぽのこというきのこがあります。
シチューやパスタ等に入れて食べると、とっても美味しいきのこです。
「まゆちゃん、あっち!
倒木や切り株があるよ」
きのこは湿気の多いところや、倒木・切り株等からよく生えてきます。
その他、日の当たりにくい場所の斜面や、落ち葉の積もった場所などにも、きのこがひっそり隠れていたりします。
「お鍋用のきのこ、色んな種類いっぱいとろう」
その方が様々な栄養が摂取出来ます。
「でもきのこ、どこにもついてないよ」
「にゃきゃ…」
「こないだ今にも朽ち果てそうな木のじじいに、沢山ぽのこついてたんだけどなぁ」
「え?」
「いや、何でも無い。
あのぽのこは食べる気しないし…」
木じじいの悪口を言うことに、懲りていない様子のまゆさんです。
「む?1つあったよ。ぽのこ。
あっ、こっちにも!」
「どれ?」
動いていたらお腹が減ってきた二人。
既にきのこを美味しく食べる気満々です。
なのになかなか思うようには見つからないきのこ。
「よし!
北側のもっとジメッとした、きのこポイントに行こうぜ!」
きのこは生えている木の種類によって、育つきのこの種類も変わります。
「鍋もさぁ、豚も鶏も両方食べようよ。
あ、牛もいる?」
「まゆちゃん、きのこは?
色んな種類のきのこっ」
「きのこね、きのこ。
ああ、ここにあんじゃんっ。
ってまたぽのこだけど」
「でもあたし、ぽのこ大好き!」
「はい、にゃこ持って!」
「にゃしっ!」
「見て!
きのこいっぱいある!」
「どこ?」
「毒ぽのこ!」
「殺す気か」
「こっちにも…
あれ、きのこじゃ無い…
あっ!!」
「どうした、てんま」
「にゃっ!」
最近にゃこさんが、ちょこちょこ見かける不思議な生物です。
「何だ、ありゃ。
きのこの化身か?」
ぼんやり見ていたら、謎の生物はどこかへ消えてしまいました。
二人は顔を見あわせる。
てんまさんは、謎の生物の行方よりまゆさんが全く怯えている様子がないことに安心していました。
次回へ続きます