前回のお話
農家のケイヒさんは収穫したお野菜を、いつもお世話になっているポ村の住民に配りにきました。
小料理屋 三すくみにやってきたケイヒさんは、今から野菜料理を食べさせてくれると聞き、食べたいメニューを考えています。
まずはトマトはサラダね。
ピーマンは肉詰め!さっぱりと大根おろしとポン酢で食べたい。あ、ソースでもいいな。
みそ炒めも食べたい。ナスよりはピーマンのみそ炒めがいい。
ナスは絶対焼きナス。おかかたっぷりでお願いします。
ゴーヤとズッキーニはフリットにしない?
お野菜大好きなケイヒさんは、どんな料理でも大賛成です。
近頃、食欲が無かったケイヒさんですが、これなら少しは食べられそうです。
「お肉モ入レル?」
「肉はいいっす」
「好き嫌いするんじゃない」
「はい、すいませんっ!」
「女将!そろそろ梅酒をくれんか?」
「ハイ。美味シク出来テマスワヨ」
「うわ、梅酒?いい香り。うまそー」
「ネェ、今日ハ外デ、梅酒飲マナイ?」
5月に作ってようやく飲み頃になってきた梅酒。
「いいですね。梅酒ー」
梅はポ村の名産品。
梅酒のお味も絶品なのです。
今日は外のキッチンで料理をしながら、梅酒で乾杯することにしました。
三すくみのみなさんも一緒にお客さんと楽しみます。

「ジャア、少シ、待ッテイテネ。オ料理ノ、準備スルカラ」
その間、ケイヒさんは居合わせたマメチュー先生に相談をすることにしました。
「マメチュー先生、聞いてもらってもいいですか?」
「ケイヒさん、どうしましたか?」
甘そうな梅酒を眺めながら、ケイヒさんは語りだしました。
この所、風邪気味っぽかったケイヒさんは、耳の調子まで悪いことに気付き、耳鼻科に行ったようです。
心配性な彼は重大な病気かもしれないと、一生懸命現在の症状を耳鼻科の先生に説明。
すると先生はこちらの話をほとんど聞いてくれていない様子。
「けしからん医者じゃな。そもそもお前は弱々しいから舐められとるんじゃよ」
「ええ、厳しいなぁ」
舐めていたとしても、それは医師が話を聞かなくてもいい理由にはなりません。
続きます。