マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

ひな祭り 2023 その3

前回のお話

ひとり、自由な暮らしを楽しんでいたねこの女の子。
初めてのお誕生日を迎える前日、家族を思い出し少し寂しさを感じます。
一人ぼっちの夜を過ごした次の朝、なぜか見たことのない場所に来ていました。

そう、ここはねこ森町です。
そこで初めてのお誕生日を迎えると知ったねこ森町メンバーは、花飾りを作ってくれるという。


「素敵ね。あたしお花大好き」
「にゃらお花、集めてくるにゃ」

そう宣言するねこの男の子たち。
今日は女の子に色々してあげたいみたいです。

「ここの男の子は優しくしてくれるのね。いいのかしら?」
「いいのよ。今日は女の子の日だもの」


他の?
他の、他の…

男の子たち一生懸命で可愛い。
ねこ森町にいる、たくさんのおひな様たちのためにすっごく頑張ってる。
ああ、でも…甘いかおりのお花畑で、眠っちゃっている子もいる。

「はい。あらためておめでとう」
「え?」

「似合うわ」
「可愛いわ。とびきり」
「ありがとう」

嬉しい
「泣かないで。カリカリも食べましょ?」
「うん!ありがとう」


ありがとう…





今日は楽しかった。


夢みたいに時間がすぎっちゃったな。
明日からはまたひとりだけど。


”すべてのねこさんは、望めばここに来れるのにゃ”


帰り際、そんなことを言ってくれた。

「ふふ」

ぱたぱた

「あたしね、今日はたくさん食べたのよ。ふふ、おなかいっぱいなんて初めて」

そう言ったらトンビは、安心した顔をしていた。

「そうだ、あんたにこれ一個あげる」

トンビは予想以上に喜んでくれた。
その姿を見ていたら、あたしも予想以上に嬉しく思った。

そうね。
あたしもこの街でもう少しこのトンビとも、他のねこさんたちとも仲良くしていいかもしれない。

そんな風に思っていたら、トンビが小さなお魚をくれた。
なんでだろう?
 
もしかしてお誕生日だから?
分からないけど、そう思い込むようにした。

今日は初めてのお誕生日、初めてのひな祭り。

そして初めて親元から離れて、心が暖かくなった日。