前回のお話
ひとり、自由な暮らしを楽しんでいたねこの女の子。
初めてのお誕生日を迎える前日、家族を思い出し少し寂しさを感じます。
一人ぼっちの夜を過ごした次の朝、なぜか見たことのない場所に来ていました。
そう、ここはねこ森町です。
「また新しいお友だちがきたみたいだわ」
ここ、どこ?なに?
「あなたもこちらへ来なさいよ」
「ねぇ、ここはねこがたくさんいるのね」
「だって、ねこ森町だもの」
「ねこ森町っていうのね。それにしてもみんな可愛い格好している…」
「今日はひな祭り。女の子の日よ」
「女の子の日?」
「そうよ。女の子の…おひな様の日。あなたも可愛いお衣装、着てみない?」
「え?」
あたしも可愛くしてもらっちゃった。
ずっと一人で暮らしていた昨日までのあたしにとっては、考えられない世界。
女の子たちに囲まれて、可愛くしてもらって…
近くにある鏡をちらちら見てしまう。
憧れのおリボン。
”可愛い、うれしい!”
なんかママや妹たち、女ばかりでわいわいしていた時を思い出した。
一人もいいけれど、みんなでいるのもなかなかいい感じだった。
「初めてのお誕生日、にぎやかになったな」
そんなことを小さくつぶやく。
「あら、あなたお誕生日なの?」
「お誕生日にゃの!?」
あたしに近寄れずにいた、見知らぬねこの男の子たち。
彼らがおずおずと近寄ってきた。
「はじめてのお誕生日?」
「おめでとにゃ」
なんだかどっかのトンビみたい。
「ちょうどよかったわ。ひな祭り用のケーキがあるの」
「ケーキ?」
「そう。パティスリーマルズさんが、あたしたちでも食べらるようにつくってくれたのよ」
いつも食べている昆虫もまぁまぁ美味しいけど、これは食べたことのない味ですっごくおいしい。
「これを食べたら花飾りつくりましょう」
「ねこ森町には、一年中咲いているお花畑があるのよ」
続きます