ポ村で小料理屋を営んでいるナメ江さんは、都会に買い出しに行くついでに、毎回馴染みの調剤薬局に寄って薬を貰って帰ります。
そしてお薬を処方してもらった後は、薬局に置いてある無料のお水を頂く。
これがナメ江さんのルーチン。
ポ村はここから少し遠いため、休憩を入れてから帰ることにしているのです。
今日ナメ江さんの対応をしてくれたのは、オウギさんの後輩チョウジさん。
彼は、同じくオウギさんの後輩のロクジョウさんと、何やら仕事のお話をしているみたいです。
ナメ江さんは働いている人たちの様子を見ていると元気が出るので、お水を飲みながら、なんとなく二人のことを見ていました。
「あれ?ロクジョウさん、ヤクタイどうしました?」
「ヤクタイですか?」
チョウジさんとロクジョウさんの声が、はっきりと聞こえる場所にいるわけではないナメ江さん。
ただでさえロクジョウさんの声は小さめ。
“今ナンテ、言ッタノカシラ?ギャクタイ?…虐待!?“
もしかして虐待された患者さんが来たのでしょうか?

それとも薬局の裏で何かいけないことが行われている??
「どのデザインのヤクタイですか?」
「ええと。なんか可愛いやつ。さっきの患者の川崎さんって、可愛いヤクタイ好きだから」
“可愛イ、虐待?“
ソレ何!?
お二人は“ヤクタイ“と言っているようなので、これはナメ江さんの聞き間違いです。
“ギ”が余計です。
ナメ江さんは物事をマイナスに考えがちなので、どうやら悪い方に言葉を受け取ってしまったようです。
そして一旦思い込んでしまうと、正しく聞こえなくなってしまいます。
だけどナメ江さん。
改めてなんて言っていたのか、一応きっちり確認したい。
“勘違いコント”をしに来たのではありませんから。
「アノ…」
「はい、ナメ江さんですね。なんでしょう?」
「も、もしかしてお加減が優れないとか」
「イエ、ソウデハナクテ、今ノ会話、何デスケド。何テ、仰ッテ、イタノデスカ?」
「会話?」
チョウジさんとロクジョウさんは、顔を見合わせています。
「ああ、すいません。なんでもないんです」
「普段患者さんの前では、言わないように気をつけているんですけど」
ナメ江さんの質問にそう返答がありました。
“ハッキリ答エテ、貰エ、ナカッタ!?“
お二人に対して、猜疑心が芽生えてしまうナメ江さん。
その後もお二人は何事もなかったように、仕事のお話を続けていました。
「あと今回から川崎さん、イッポウカだって」
「はい、イッポウカですね」
「今度ハ何?イッポウカ?一方か?“一方か”ッテ何?言葉遣イ、オカシイワ。ナラ、モウ一方ハ、何?」
ナンナノーーー!?

続きます