マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

怖がり屋さん その12

前回のお話

ビビりで悩む小学六年生のヨモギくん。
ポ村小で開催される肝試しが嫌でたまらない。
でも女子に馬鹿にされたくないため、まずはビビり克服にチャレンジ。
トビーくんに特訓に付き合ってもらっていた途中、てんまさんに遭遇。
彼女から恐怖心が無くなるという、トキソプラズマ感染症の話を聞きます。
トキソプラズマは恐怖心がなくなるだけでなく、交通事故の遭遇、自殺率もアップさせてしまうそうです。
そんな時あらわれたのは、トキソプラズマの終宿主であるネコ科のにゃこさんでした。


「ねこ、こわい?」
「え?」


僕がぼんやりとねこを見つめていたから、トキソプラズマのことで怯えていると勘違いをさせてしまったようだった。


「妊婦さんとか以外、感染してもほとんど治療の必要ないから大丈夫だよ?わたしたちはねずみちゃんじゃないから、感染してもこれは恐れる必要はない。よく言うでしょ。正しく恐れようって」


「ふふ、いや。僕ねこさんは好きですよ。かわいいです。とっても」
「よかった」
「にゃ?なんにゃお前は」
「僕も尊敬するマメチュー先生には、怖がりであってほしいかも」

「にゃこちゃんはちゅーるとかしか食べないから、大丈夫だとおもうんだけど」
「なんのお話にゃ?」

マメチュー先生!!!

正しく恐れる…。
新型コロナの時もそんなこと言ってたっけ?


「にゃこさん、力入れてたから、あんよ痛いにゃわ」
「ねこさん、筋肉痛かな?」
「動物も筋肉痛になるんですか?」
「筋肉の凝りや痛みにヨモギっていいんだよ」
「え?」
「ヨモギって生薬の名前だよね。わたし”てんま”っていうんだけどこの名前も生薬の名前なんだ」

「あ…」
「へへ、ちょっと嬉しい。親近感?またドーパミン出てきた。ん?セロトニン?」

数日後。

「けっこう人来てるね」
「…ヨモギくんってお化け屋敷こわくないんだ?そんなに怖く無さそうだよね」

ぼんやりした顔で僕を見ながら、ガラゴちゃんは呟いていた。


「まぁ、うん。はは…これくらいならね」
「そうなの?じゃあ遊園地行かない?本格派のお化け屋敷行こうよ」


「それは行かない」
「なんでー?」

「怖いからだよ」
「あたしと行くのいやなんだ?」
「そのうちね」

自分の苦手なものから自分の精神を守るために、断れる勇気を手に入れたらしい僕。
すぐには苦手なものを克服できなかったけれど、克服できるヒントは色々ともらってみたいだ。


いつの日かクラスのアイドルガラゴちゃんに、ちょっとだけ強くなった僕を見せる。


そのためにはお肉やお魚お豆、他にも好き嫌いなく色々食べて、ドーパミンを少しだけ増やしてちょっとやそっとじゃビビらない僕を手に入れよう。


好き嫌いをなくしたら、怖くて嫌な病気だって防げちゃうものね!