パゴロウさんはひとり暮らしを始めてからずっと、笹のササさんと静かな暮らしをしていました。
一人で暮らす部屋の中はガランとしていて、やっぱり寂しい。
一人で眠る夜もあまりに静かで、そこはかとない恐怖を感じていまいます。
一人で暮らし始めると、炊事や洗濯の大変さにも気付くけれど、一日中家の中が自分一人であることの方が違和感を感じていました。
そんなある日、突然我が家にやって来たシフォン。
好奇心旺盛だけれど、少し臆病。
ジッとこちらを観察していたと思ったら、いつの間にか近くによって来ている。
そんなシフォンと出会って以来、ササさんとの穏やかな毎日がガラッと変わりました。
自分以外の誰かとの暮らし。
そして自分が眠ると、シフォンもササさんのそばですやすやと眠る。
そんなシフォンは何をやらかすか分からないので、気が気じゃありません。
この間はお皿を洗っていたら、泡の中に飛び込んで来ました。
この子は何が好きで、何に興味があって、何が嫌いなのでしょうか…
そんな事ばかり考えてしまいます。
ねこさんのことを知りたくて、一生懸命お勉強してるのと変わりがないかもしれません。
シフォンのことを知るために、こちらも観察をしてみます。
一人暮らしで自分の面倒を見るだけでも大変だったのに、誰かの面倒も見なくてはならない。
でもシフォンが嬉しそうに家の中を歩き回っているのを見ると、何だかほっこりします。
すっごく癒されて、あたたかい気持ちになってきます。
シフォンが何をしているのか、困っていないか、寂しがっていないか、いつも気になってしまう。
それでも日々の生活が充実している、そんな風に思います。
そしてシフォンには相談することも出来ます。
この子相手なら、何でも話せてしまう。
こちらが言っている事をあまり理解できていない分、何でも話せてしまうのです。
ペットを飼うなんて、お金もかかるし大変なのになんで?
そんな風に思っていた事もありました。
でも今はペットを飼う気持ちが、分かった気がします。
家に帰って、シフォンを見ているだけでも楽しい。
そんな日々を送っているボク。
今まではちょっぴり、憂鬱だった朝が今日もやって来る…
「シフォンっ、おはよう!」