「あの~、欲しい薬があるんですけど…
ここに置いてあるかしら?」
“ギクッ”
突然背後から、薬の有無の質問をされ、ビクビクしてしまうパゴロウさん。
「えっと…どのようなお薬でしょう?」
「歯がね、ちょっと痛むんです。
歯医者さんの予約がなかなかとれなくて、ちょっと先になりそうなんですよ。
それまで歯の痛みが、我慢出来そうになくて。
痛み止めの薬…あります?」
(痛み止め…)
“アスピリン”
「あります。ありますよ!」
「良かったわー。
もう痛くって、一日中歯の事ばっかり考えちゃって。
他のこと何も、手につかない状態だったんですよ」
「この痛み止めの薬の主成分は、アスピリンと言います。
これは柳の樹皮に、含まれている成分なんです。
古くから柳の樹皮が痛み止めに効くことは、知られていまして。
なので柳は、爪楊枝に使用されているんですよ。
歯痛を抑えるために」
「爪楊枝に?
知らなかったわ。詳しいんですね。
さすが薬の専門家だわ」
“薬の専門家だわ”
「は、はい。
ありがとうございます」
とは言えパゴロウさんは、マメチュー先生に一応、確認をとる事にしました。
「特にアスピリン喘息に、掛かった事は無いか。
胃炎・胃潰瘍等の副作用があるので、胃腸は弱くないか。
歯痛の痛みはどのくらいか。
痛みによく効く薬と、効果は緩やかだけれど、副作用の少ない薬、どちらにするか等も確認すると良いと思います」
“ハッ…”
(薬剤師として必要な確認事項、何も聞いていなかった)
自分の知っている知識を、ひけらかしただけ…
「でもパゴロウさん」
「はっはい。
すみません」
「え?」
「昔の方たちって、凄いですよね。
かなり昔から薬というものは、存在していて。
そして私たちは既に存在する、薬の勉強をしているだけですから」
(マメチュー先生…目がキラキラ、ギラギラ?している)
“薬の知識を身に付けるのが好きな所”
ちょっとマメチュー先生とボクは、似ている所があるのかもしれません。
仕事の休み時間。
柳の木の下で、マメチュー先生と二人でお話をしました。
薬の豆知識とか、色々と…
サワサワと、風で葉が揺れる柳の木。
“息を止めて、足早に通り過ぎないと、霊に取り憑かれてしまう”
そんな言い伝え?的な話を聞いた事があります。
でもボクは日本っぽくて、雰囲気があって、柳の木は好きです。
そんな事を思いながら、マメチュー先生の薬のお話を聞く。
穏やかな時間が流れていきました。
ボクも…
マメチュー先生みたいな薬剤師になりたいな…
これからも先生の元で、勉強させて頂きますね。
マメチュー先生。