パゴロウさん、今日はパソコンを使ったお仕事をしています。
「ブランイドタッチも、出来るようになりたいなぁ」
事務も薬剤師の仕事の一つ。
パゴロウさんは仕事をしながら、チラッと患者さんと会話をする、マメチュー先生を観察してしまいます。
※薬局の中でひとり、隠れんぼをしているにゃこさんを見掛ける事があると思いますが、気にしないで下さい。
にゃこさんはパゴロウさんに怖がられているので、見つからないようにコッソリと、お店に潜んでいるのです。
幸い仕事に一生懸命なパゴロウさんだけ、隠れているにゃこさんに気付いていないようです。
マメチュー先生たちは、にゃこさんの為に知らない振りをしてあげているのです。
マメチュー先生は、キノコさんとお話中。
「ねぇ、先生。
今日もミントティー、買いにきちゃったわ」
「ありがとうございます。キノコさん。
お口に合いましたか?」
「ええ、もちろん。
なんかね、私最近やけに喉が渇いちゃって。
あっという間に、飲み干しちゃったのよね。
普段そんなに喉渇かないのに」
「最近?やけに…」
マメチュー先生は、キノコさんが服薬しているお薬の事が気になりました。
キノコさんが3ヶ月程前から、定期処方されている降圧剤。
「気を付けていたのに、とうとう私も血圧のお薬を飲むことになっちゃったわ」
当時そうおっしゃっていた。
「あのキノコさん。
喉の渇きを感じ始めたのは、いつ頃からでしょう」
マメチュー先生は、降圧剤を服薬し始めた時期を、薬歴から改めてキッチリと確認しました。
「そうねぇ。2カ月前?
多分2~3ヶ月前だったかしらね」
喉の渇きを感じ始めた時期と、降圧剤を服用し始めた時期が重なっています。
“降圧剤の副作用!”
「キノコさん少々お待ち頂いても、よろしいですか?」
「え?ええ…」
マメチュー先生は、くまじろ先生に疑義照会をする事にしました。
マメチュー先生はくまじろ先生と、キノコさんの降圧剤の量に関して、相談しているみたいでした。
その間、仕事をしつつもチラチラと、様子を見ていたパゴロウさん。
マメチュー先生はホント、患者さんに信頼されているなぁ。
“最近やけに喉が渇いちゃって”
そんな些細な話題を、患者さんは話したくなる。
そしてマメチュー先生もそういう些細な話を聞き逃さすことなく、そこから色々な事に気付くことが出来る。
結局くまじろ叔父さんに疑義照会を行った結果、キノコさんの降圧剤の量は、変更になったみたいです
説明するだけで精一杯のボク。
患者さんから話を引き出す事なんて、出来るのでしょうか。
“話を聞いて欲しい”
そんな風に思って頂けるのでしょうか。
急いでも無いのに、患者さんに早く帰りたがられたら、ショックだなぁ…
“どうしてお医者さまに話したことを、またアナタに話さなくちゃいけないの?”
学生時代…
実習中に見た一場面です。
(薬剤師あるある言いたい…)
患者さんに、そんな風に鬱陶しがられるのはツラいです。
でもそれは調剤薬局の薬剤師が、必ずぶつかってしまう壁だと思います。
薬剤師の仕事というものがどういうものなのか…
それを認知されていないのが、そう思われてしまう原因なのかもしれません。
ただでさえボクは人見知り。
対人恐怖症では無いと思ってはいますけど。
患者さんに、ウザがられてしまったら…
そもそも初対面の方とは、上手くご挨拶も出来無いボク。
身体的症状(汗や震え等)が出る方は、対人恐怖症なのだそうですが。
大丈夫!
ボクはそこまで人を怖がっていない。
頭が真っ白になるくらいは、人見知りの範囲内みたいだし…
「パゴロウさん?」
「…マメチュー先生…」
気が付くと、キノコさんはお帰りになられ、マメチュー先生がボク顔を覗き込んでおられました。
「これどうぞ」
「のど飴、ですか?」
「この間いらしていた、MRさんから頂いたものです。
新商品の、のど飴だそうですよ。
なかなか美味しかったです」
「…マメチュー先生は凄いなぁ。
ボクだったらキノコさんの副作用、気付かなかっただろうなぁ」
「凄くは無いですよ。
私も新人の頃は、職場の先輩と自分を比べたものです。
経験が違うだけです」
「そう…でしょうか」
「そうですよ。
私がしていることは、患者さんのことをしっかり見る、それだけです。
年齢・性別・表情・仕草等どんな方なのか、しっかりと見る。
薬剤師にとって心掛ける事の一つです」
「患者さんをみる…」
(自分と他人を見比べるのではなく)
「患者さんを見る、ですね」
「はい!」
なんか簡単そうで、とても難しそうです…