マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

パティスリーマルズ その1

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森の中に佇んでいるのは、まるで生クリームみたいなパティシエ・マルズさんが営むスイーツショップ。

 

ナッツやフルーツ、野菜等を使用したケーキを中心に扱っているお店です。

 

もうすぐ、営業終了の時間。

ケーキはもうあと一つで完売。

 

パティスリーマルズはポ村で人気のスイーツショップのため、閉店時間までケーキが残っていることは珍しいのです。

 

スタタタタタッ

 

 

マルズでお手伝いをしているこちらのちびっ子は、りーちゃん。

 

将来はお菓子屋さんになるのが夢なのだそうです。今日は一日、お店のお手伝いをして空腹状態みたい。

 

そんな二人にマルズさんは、優しく語りかけます。

 

「あと5分我慢してくださいね。そしたら余ったケーキ、食べて良いからね」

 

りーちゃんとどんぐりさんは、お仕事を手伝ったご褒美としてケーキが余った日は、そのケーキをごちそうになるのが楽しみ。

 

「はい!りーちゃんガマンします。どんぐりさん、半分こしようね」

既に同じケーキを食べていたきのこさん。

 

「ずんだモン(ずんだモンブラン)とっても美味しかった。なめらかなあんこの部分と、枝豆の食感が残っている部分があって、飽きのこないお味だったわ」

「うん、うん。です、です。ふふ、あと3分!」

 

短いようで長い3分。

 

ゲームをしている時の3分はあっという間なのに、運動している時の3分はやけに長い。二度寝した時の3分はあっという間なのに、よく知らない人と会話中の間が持たない3分は、とてつもなく長い。カップ麺の時も思うけれど、時間が過ぎるのを待っている時、人はとっても長く感じてしまうらしい。

 

「まだかな、まだかな。あと2分」

 

チリン、チリリリン

 

「USAちゃん爆速!ちょうど一個残ってるー!しかもずんだモンだー」

つねにタイミングが悪い場面に出くわす星の元に生まれた女、USAさん。

 

ケーキを購入するため、閉店時間ギリギリにダッシュでやってきました。

「えっ!?」

 

「いっ、いらっしゃ…ませっ。うぅ、うえぇんっ」

「りーちゃん、うれし泣き?じゃないよね。買っちゃダメだった?」

 

りーちゃんは大きく首を横に振り、一生懸命歯を食いしばって、涙を我慢します。どんぐりさんも悲しそう。

 

「そ、そんなこと…ないでつ。一個でも多くケーキを売るのが、ケーキ屋さんのおしごとでつ…」

「あ、う、うん。そうよね」

 

 「お買い上げ…ありがと…」

りーちゃんとどんぐりさんがいる時の閉店時間ギリギリは、気持ち良くケーキを買う事が出来ない店、パティスリーマルズ。

 

「りーちゃん??」

「これって、てんまちゃんとこのハチミツ?」
「あっ、ううっ。そうでつ。てんまさんから貰って一回食べたやつでしゅ」
 

「りーちゃん、ホットケーキを作ったら食べますか?てんまさんのハチミツをのっけて」
「え?」
 
まだグズグズ泣いているりーちゃんの為に、ホットケーキを作ってくれるというマルズさん。

「うう、でもね。そのはちみつのビン…実は硬くて、開かなくなっちゃったのです」
 
続きます