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前回のお話
伝説の妖怪”大蝦蟇さま”のように不思議なチカラを持つという、カエルたちの長、ガマさま。ガマさまに憧れているクロ太くんですが、ガマさまの潜在能力を引き出したのはなぜか、ナメ江さんだということを知り…
心臓バクバクの危機と、本物のガマの油

兎にも角にもナメ江さんがガマさまを触れて以来、ガマ様は本物のガマの油を出せるようになったそうです。

クロ太さんは内心、ナメ江さんにもっともっとガマ様の潜在能力を引き出してもらって、「大蝦蟇さまくらいの大きさにして欲しい」なんてことを思っていました。
蛇もナメクジも飲み込んじゃう三すくみの頂点。じゃんけんで何を出しても絶対に勝てる、ガマ様は最強になれるはずなんだ!
「フゥ…」
興奮気味に嬉しそうにしているクロ太さんに対し、ナメ江さんは元気なさそうにしています。
「どうしたんですか?」
「こないだから心臓に少し違和感があるのヨネ…ドキドキして、なんだか落ち着かないの」
心配性のナメ江さんにとって、心臓の違和感は一大事です。
「ええ?大変。それは心配ですね」
「ガマ様がフロ次さんたちに会いにくるって聞いたから、ツイデニ私も助けて貰おうと」
「ガマ様ってナメ江さんのこと、助けられるんですか?」
「ホラ、例のガマの油ヨ」
本物のガマの油=センソ
フロ次さんがいつも持っているガマの油(中身はワセリン)とは違うものです。
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ヒキガエルの耳線の分泌物を集めた物を、センソといいます。強心作用等の薬効成分があるセンソは、ストレスや疲労が原因で起こる軽度の心臓の乱れを、改善してくれるそうです。
「有難いワネ」
「すごーい!ほんとに治してあげられるんだね」
乾燥させたセンソは、一匹から数mgしか採取できないのですが、ガマ様からは時間をかければいくらでも採取することができます。ナメ江さん、どうやら以前、スネ文さんの脱皮姿を見たときに驚いたらしく、その日以降、軽く心臓に違和感があるというのです。
普通はセンソを乾燥させたりするのですが、ガマ様のセンソはそのまま使用でき、即効性もあるようです。

採取できたらすぐに使用可能だというガマ様のセンソですが、難点は出して貰うのに多少時間がかかること。
小さなヒキガエルの場合は、隆起した分泌腺をピンセットで掴み乳液を採取するのですが、ガマ様の身体ではそれがうまくいかないのです。四六のガマのように、ガマ様が自ら脂汗を流すのを待たなくてはいけません。
「ガマ様、自分でどうやって脂汗を流すんですか?サウナですか?」
好奇心が強いクロ太さんは、色々知りたいようです。
四六のガマは、美しいと思っていた自分の姿があまりにも醜悪なことに驚き、脂汗を流したと言われていますが、ガマ様は…
続きます