ポ村の近くに用事があったため、ポ村の方にも寄り道をした、てんまさんの妹のしょうまさん。
ポ村を包む気持ちの良い空気に囲まれながら散策をしていたしょうまさんは、学生時代からの友人まゆさんを見かけます。
「おっ?なんだ、しょうまじゃん」
「まゆ、久し振りー。
抱き締めていい?」
「もーちょっとお!」
しょうまさんは以前自分が、カゲに行ったアルコール消毒。
それを今度は、まゆさんからされてしまいました。
「このあいだ久し振りにあったにゃこちゃんは、癒してくれたのにな」
最終的には冷たくされてしまったことは、余計なことなので省略してます。
「ねーえー、聞いてる?」
「こんな所をウロついて何してたんだ?
病院行くのか?」
「にゃこちゃんに会ってね。
あたしの人生にはねこちゃんの癒しが、必要なんだなぁって改めて思ったんだ」
「おめぇも聞いてねえな。人の話」
「うちのねこにも会いたくなっちゃった」
「……」
少し黙って、二人でポ村の散歩を楽しみます。
「そろそろ診察の時間だから行って来る」
「ああ、検査?」
「そう、じゃね」
まゆさんは妹しょうまさんの話を普段一切しないてんまさんのことは、あえて触れずにいました。
(しょうまはてんまのこと、気にしてるんだろうけど)
寄り道もほどほどに、しょうまさんが向かった場所は、ポ村近くにある病院でした。
最近、持病の喘息が悪化してきていると感じていたため、検査をして貰いに来たのです。
「こんにちは。しょうまさんだね。
予約の時間にぴったりきましたね」
「よろしくお願いします」
現在の喘息の程度を調べるため、一酸化窒素の検査、呼気No検査をしに来ました。
呼気中のNo濃度を測定し、炎症の度合いを調べます。
炎症が酷い人ほど一酸化窒素が産生されます。
検査の結果“22ppb”以上だと喘息の可能性があります。
“37ppb”以上で確実に喘息であると診断されます。
しょうまさんが初めて喘息だと診断されたのは、病院で検査をしたハタチ近くになってからです。
でも実際はもっと子供の頃から、喘息の症状は出ていました。
ただ子供の頃は、自分に起きている不快な症状が喘息かもしれないと、分からなかっただけです。
昔から運動直後はいつも、異常な苦しさがありました。
それは大人になるほど、酷くなっていった。
しょうまさんが訪れた病院には、喘息を専門で見ている先生がいました。
「さて、しょうまさんが今回のゲームの挑戦者ですね」
「はい、頑張ります」
これから先生に喘息の状態を、はかって貰います。
【はかって貰うために必要なミッション】
息を吹きかけて、風船を持った女の子を向かいの陸地に無事着地させる。
「この可愛らしい女の子を、ぜひ向こうの陸地に渡らせてあげて下さい」
「女の子…
男の子の方が頑張れたなぁ」
「あの女の子は病気のおばあさんと、病気のおかあさんと、病気のいもうとと、病気のサボテンを介護しに向かわないといけないんです」
「病人ばっかりですね。
先生が助けに行ってあげて下さいよ、女の子」
「静かに。はい、ではここに息を一定に吹きかけて下さいね」
最大限息を吸い込んでから、一定の速度で息を吹きかける。
吹きかける息が弱かったら女の子は落ちてしまい、強すぎたら上空へ飛んでいってしまうのだそうです。
「女の子を頼みますよ」
「分かりましたよぉ」
デデッデッデ、デッデッ♫
しょうまさんは一息ついてから、息を吹きかけました。
続きます