マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

怖がり屋さん その8

前回のお話

ビビりで悩む小学六年生のヨモギくん。
ポ村小で開催される肝試しが嫌でたまらない。
でも女子に馬鹿にされたくないため、まずはビビり克服にチャレンジ。
トビーくんに特訓に付き合ってもらっていた途中、てんまさんに遭遇。
彼女は怖がることは、大切なことだとヨモギくんに伝えます。

「ヨモギくん、ちょっとすりむいてる」
「え?」

あ、これ。
ガラゴちゃんがてんまさんから貰ったっていう、ピンクの絆創膏のブルーバージョン。


「ケガすることや病気に対してはしっかり恐れて欲しい。違和感を感じたらすぐ病院に行ってほしい」
「僕、ケガも病気も怖いです」

「そう。よかった。安心。ケガや病気が怖いなら知識を付けてある程度、防ぐこともできる」
「知識で恐怖を防げる」

「無人島に漂着したら、薬草を見つけて自分で治療することもできるでしょ?」
「無人島?」
漂着すること、あるかな?

「オトギリソウはね。外傷にきくんだよ」

【オトギリソウ】
新鮮な葉からしぼり汁をとって、傷に塗布する。
生の葉をもんでしぼり汁を作り患部に貼る。


「あたしも子供のころ、怖いものがたくさんあったんだ。特にジェットコースターが苦手だった。あの”ガガガガッ”っていう走行する音を聞くだけで怖くて、心臓がキュッってなってた。それなのに小さいころ、おとぎランドの“宇宙山”ってジェットコースターに乗っちゃったのね」

「おむすびころりんのねずみさんとかがいる、夢みたいな遊園地?」
「そう。宇宙山って室内ジェットコースターだったから、走行音が聞こえなくて、怖い乗り物だって分からず乗っちゃったの。でね、乗ったらあんまりにも怖くて叫び声も出なかった」

「今は平気?大人になると怖くなくなるんですかね」


「ううん。大人になる前に乗れるようになった。小学校4年生の時かな?それにはね、理由があるんだ」
「4年生。すごいな。僕はもう6年生だけど乗れる気がしない」


「あたしね、一つ下に妹がいるの。だから彼女は当時3年生。初めて一緒に遊園地に行ったとき、妹は臆することなく、ジェットコースターの列に走って並んでいた。突然だったからびっくりしちゃって。ジェットコースターは怖かったけれど、妹を一人にさせるわけには行かなかったから、慌ててついていったの」

「周囲は大人の人ばかりだったけど、妹の顔を見るとあまりにも楽し気に並んでいたもんだから、それを見ていたら不思議と恐怖心がなくなっていったんだ。一つ前に並んでいたカップルは、私たちをからかうように”小っちゃい子には無理だよ”なんてにやにやしながら言ってた。だけどね、そんな人たちに対しても妹は、全然関係ないって感じで無視してた。それで、いざジェットコースターに乗ってみたら…」


妹、しょうまさんのお話はこちら
www.mamechu.com


「どうでした?」
「面白かった」
「そうなんだ」

「私も拍子抜けする位、面白かった。昔ながらのジェットコースターだったからよかったのかもしれないけれど、気持ちよかったよ」
「要するに食わず嫌いみたいなものだったのかな」


「でもね、大切な人には怖がりでいて欲しいと思うんだ」
「大切な人?なんでですか?」

「大好きで大切な人がいてね。まゆちゃんっていうんだけどね。気が強いんだけどちょっとだけ怖がりで。虫とかはね、苦手なの」
「僕といっしょだ」

「それなのに、強い人とか怖い感じの人が不正をしていたりすると、強気で向かっていっちゃうの」
「すごいですね」

「でもそれが心配」

続きます