マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

自己判断による服薬拒否 その5

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前回のお話

医療機関がすくないポ村。ポ村の村長は、都会の薬局で働くイチイさんをポ村まで連れてきていました。

どうやら、医療従事者として不適切な行動をとりがちなまゆさん、USAさんを教育してもらうためのようです。

そんな中、まゆさんは血圧が高いのに薬を飲んでいない様子のフェネさんが気になっていました。

 

 

 

 

薬局では、まゆさんとUSAさんが寛いでいました。

三すくみでランチ後、村長が来ることも知らずに、薬局に遊びに来ていたようです。

 

マメチュー先生の薬局では、ヘルシーで健康的なドリンクや食事をとることも出来るため、二人は食後のお茶をしに来たみたい。

「あ、来た」

「え?誰?…フェネさん?お昼に三すくみでも会ったわよね」

「ええと、いつもと同じお薬ですね?血圧はどうでしたか?」

「まあまあ…です」

 

「ではお薬が効いて安定しているんですね」

「…」

 

フェネさんは薬袋を見つめたまま、なぜか黙っています。

 

「何か気になる事でも?」

「あの、ええと。実はね」

「はい」

 

言いよどんでいるフェネさんに対し、柔らかな笑みを浮かべながら静かに待っているマメチュー先生。

「実は、この二種類の薬のうち一つしか飲んでいないの。もう何ヶ月も」

「そうでしたか。それはどうしてなのでしょう?」

「友人がね、色々薬を飲むのは身体に良くないって言うから」

 

その様子を伺っているまゆさんとUSAさん。

 

「プラマイがあるのは分かった上で、お医者さまだって処方箋書いてると思うんだけどなぁ」

「まゆちゃん、盗み聞き?いけないんだ」

 

「一応あたしはこの薬局の薬剤師。だいたいUSAも盗み聞き好きじゃん」

「それは恋の話限定。恋愛ドラマとかでめちゃくちゃ多いじゃない?偶然相手役の心情を聞いちゃうシーン。あたし、あれならやりたい!」

「マメチュー先生、あたし薬を飲んでも飲まなくても、血圧がそんなに変わらないみたいなの。でもこんなことお医者さま…くまじろ先生に言ったら、怒られるでしょう?」

 

血圧のことについて、くまじろ先生の話を聞いている時はそれなりに納得するフェネさん。

でも先生は日常生活で、めったには会わない人。

これは医療業界ではよくある話。

医療者の話よりも、身近な人の意見の方を聞いてしまう。

 

一方薬局の隅にある休憩スペースで、ひそひそ話しているまゆさんとUSAさん。

 

「あたしは権威のある人の話だったら、すぐ鵜呑みにしちゃうんだけどなぁ」

「知ってるUSA?そういう人って、詐欺師にだまされやすいんだって。”権威がある”ってだけで話を信じ込んじゃうから」

 

「何よそれ?先生の話を信じちゃダメって話?」
「いいや、詐欺師にだまされるなって話」

 

 

その頃、村長たちは。 

「そうなんです。率直にものを言う先生ですが、診断は正確。頼りになる先生です。さ、イチイさん。ここがポ村唯一の調剤薬局です」
「周囲を緑に囲まれた薬局なんて、いいですね」
 
続きます