マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

イチイさん その1

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都会で数十店舗の調剤薬局を経営する、社長の息子のイチイさん。

とある薬剤師会で知り合ったポ村の村長に、薬剤師の指導をするよう頼まれていました。

「すいません。今日は出勤すると聞いていたんですけど…」

「ではちょっと一人で村を見学してから帰ります」
「そうですか。分かりました。ではまた今度」


一人でポ村を散策するイチイさん。

薬局ではマメチュー先生やクラゲさんにしか会うことがなく、指導の必要性を特に感じていないイチイさんですが、ポ村に訪問するのが好きなので村長に頼まれるたびに一応薬局を視察。

そしてマメチュー先生の仕事ぶりを見るたび、感心していました。
「村長は誰の指導をして欲しいっていうんだろうか…ん!?」

「初めて見る花。ポ村固有?」

「なんだこれ、急に枯れそう…この花の特徴かな?」


「…なんだこれ」

イチイさんが目にしたモノはポ村にのみ存在するという”悪しきもの”

悪しきものは土壌を汚染させ、植物を腐らせる。さらには人に向けて泥だんごを投げてきたりする、とてもやっかいな存在です。悪しきものの周囲にある植物はみるみる枯れていっています。

「あ?お前の仕業か」

高齢者や女性、子供を主に狙う悪しきものは、大人の男性であるイチイさんの前から転げるように逃げていきました。

「??何だったんだよ、あれは」

「ポ村ってほんと不思議だな」

何やら呟きつつ、きれいな小川を見つけたイチイさんは、手を洗いつつ枯れかけていた植物に水をかけてあげる。
すると少しずつ生き返っているようにも見えました。


「うん、よし!あとは自分で頑張れ。それにしてもなんか肩こった」


「お、にゃんたじゃん。真似すんなよ」
「しょうがないにゃ。のびぃーはうつるのにゃ」

「お前とはよく会うな、散歩好きか?」
にっこりするにゃこさん。

「おさんぽたのしいにゃ」

「そっか」
のびをして寛いでいるにゃこさんは、何かの気配を感じたようです。

「にゃ?」

「何者だっお前は!にゃこに何してる」

「なんだありゃ?」


突然現れたトビーくん。
見知らぬイチイさんを見て警戒しているようです。

「なぁにゃんた。あのちんまいの知り合い?」
「ぷーぷすー」

質問されているにゃこさんですが、当の本人は顔見知りのトビーくんを見て安心したのか、イチイさんの足元でのんきに寝息を立てていました。
「おい、ねこ…」

続きます