マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

ひな祭り 2023 その1

ようやく陽射しが暖かくなってくる季節が来た。
日向ぼっこも心地いい。

ひとりって自由で楽しい。
ぱたぱた
「ん?」

「トンビのやつ。あたしに気安く話しかけてくるんだから」

子供の頃、早く大人になりたくて、一人であちこち冒険してママを困らせてた。
まだ半年前のことなのに、なんだかすっごく懐かしい。

明日、あたしの初めてのお誕生日。
一人っきりの…お誕生日。

これは大人になったねこ界では当たり前のこと。
みんな同じ。

今までいろんなことが初めてで、それがいちいち楽しくて仕方がなかった。
初めて木に登って、初めて小さな池にいたお魚を食べて、初めて雪で遊んだ。

けどね、今日は朝からママや妹たちのことを思い出す。

大人になっても、寂しいと思うことはあるの。
それくらい、いいよね。

最初は知りたいこと、やってみたいことがたくさんあって楽しかった。
ママに怒られたり、妹たちにまとわりつかれないですむから気楽だった。

今はね、毎日お気楽に過ごしてはいられないんだって分かった。
大人のねこになっても暖かいお家があって、家族がある子はいいなって、ちょっとだけ思うことがある。

似合うのに、可愛いのになんで?って思った。

※本来ねこさんは赤色を認識できません

首のお飾りを嫌がっている子に”似合うよ”って言いに行ってあげようと思った。
けれど、お庭に入ったらそのねこにすっごく怒られちゃった。

きっと自分の家族をとられると思ったのね。

あの可愛いおリボンは、お誕生日プレゼントなのかしら?
明日はあたしの初めてのお誕生日。


だけど一人ぼっちのお誕生日。


だいぶ早く咲いているスミレを見つけた。

「…」

”さみしいな”そんな風に思うなんて思わなかった。

たまには…たまにはだけどね。
女の子同士でわいわいお話したいなって思うこと、あるんだ。

わけ分かんないやつ…




昼間は少しあったかくなったけど、それでも3月の夜はまだ寒いから冷えない所で寝よう。

「あら?」

いつもはなかった場所に、眠るにはとってもよさそうな段ボールがある。

「ふふ、ここならあったかい」

“あたしは幸せ”


翌日…
お誕生日当日の朝。

眠った場所とは違うところで目が覚める。

え?なに?

寝ている間、誰かに運ばれてしまったの?

“いいえ、違います”

ここは猫さんが使用する段ボールや押し入れ、秘密の小道などからヌルっと行くことが出来るねこ森町です。

続きます