マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

内臓脂肪減少薬 その9

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前回のお話 (内臓脂肪減少薬 その1はこちら)
外見を磨くのに命をかけているあかりさんの後輩、小林柚月は内臓脂肪減少薬を母親に買ってもらい手に入れていた。


そんな中、困っている様子のまゆさんとてんまさん。


「どしたのにゃ?」
「このままじゃ本当に薬が必要な人に、処方できないんだよ」

「ダイエットしたい人、多いんだね。だから薬を制限されちゃうんだよね」
「それ、にゃこが解決してあげられることにゃろか?」



あかり家宅

「使えそうにない…」



屈辱の一言

くっそー痩せたいなぁ。悔しいなぁ。でもご飯食べたいなぁ。やっぱり腹巻巻いてやせ薬買いに行こうかな?


「ねぇ、ねこロボットのエルトンさん。あたしにチャチャっとやせ薬出してくれたりしない?」

エルトンをじっと見ていたら、服に何かカードのようなものが挟まっていることに気づいた。

「なにこれ、あたし何か落とした?」
カードをつまんでみると、どこかのお店のカードのようだった。

「夜カフェ夢森町?そんなとこ行ったかな?」
「にゃ」

・・・。


いいや、とりあえずもう寝よう。夢の中だけでも痩せたあたしになってたらいいな。

ーーー。

ーーーーー。

すーすー😪



ラッキー。これがあれば、食事制限しなくても痩せられる。

気にせず食べられる!かつ丼、オムライス、チョコレートケーキ!

「ねこだ、かわいい。っていうかそうえいば、ここどこ?」
「夢森町にゃよ」

「わ、話しかけてきた」
「お前の持っているそれ、うちのお店のカードにゃね」

「え?」

これ?

さっきエルトンが持ってたどこかのお店の…

「うちの店くるにゃか?」
「うちの店?あなたが何か作ってくれるの?」

「お友だちのねこさんたちが作ってくれるにゃ」
「ねこちゃんがお料理?怪しいなぁ」

「そんなことないにゃよ、失礼にゃね」

「ちょっと待って、その薬あたしの!」

あたしは見知らぬかわいいねこを追いかけ…
追いかけ追いかけ走っていく。


「もー疲れたぁ」
「ついたにゃよ。ここが夜カフェ夢森町にゃ」
「あれ?もう夜?」

記事:夢森町 その1/ 夢森町 2ねこ目 その1

「夜カフェ、夢森町って。。。さっきのカードの…」

不思議なお店。ねこの飲食店?
食べ物のいい香りがすでに店外にまで漂っている。

「こっちにゃ」
「うん」


そう言われて、思わずかわいいねこに続いて店内に入ってしまう。

「急におなかが減って来ちゃった。メニューは何があるの?あたし焼きボロネーゼが好きなんだ。麺がカリカリしているやつ。ナポリタンもカリカリに焼いている奴が好き!鉄板に乗ってたら最高。」

「そんなのはないにゃ。うちはシェフが気分によって作るものしかやってないのにゃ」
「えーなにそれ?じゃあもうご飯はいいからさ。さっきの薬返してよ。じゃないと暴飲暴食できないし」

「だめにゃ。これは困っている人にあげるのにゃ」
「だからそれあたし」

使わせてもらえないと思えば思うほど、使いたくなってしまう。

「いいから薬ちょうだい」
するとあたしの周りに店内にいたねこたちが近寄ってくる。

「あなた薬を使って痩せたいの?」

女の子のねこちゃん?

「そう、そうだよ」
「全然太ってないわよ。むしろ健康的じゃない」

「あのね、そこのねこの娘さん。日本では健康的な体型というのは、誉め言葉じゃないんだよ」
「あら、かわいくないわね。モデルじゃないんだからスタイルがよくなきゃなんてことはないのよ」

「そうよ。ミュージシャンじゃないんだから音楽ができなくたっていいのよ」

「アスリートじゃないんだから、人より運動神経が劣ってたっていい。外科医じゃないのだから手術の腕が無くなっていい。それと同じよ」

あたし、色んなねこたちに痩せようとしていることを責められている?

「だいたい、見かけなんて一生若く美しくなんて保てないでしょう?どうしてこだわるの?」
「そんなことわかってるよ。いいよね、ねこはいつまでも若々しくて」
「そんなことないわ」

「いいの、何を言われても痩せている方がいいの!顔がいまいちなら、手足も長くないのなら…せめてぽっちゃりにだけはなりたくないの!」
「頑固にゃわ」
「説得するのって難しいのね」

「こういうことって、いつか自分自身で気づく日を待つしかないんだわ」

「にゃむむぅ」


続きます