マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

醜い争いをする大人たち

大好きなチョコ菓子。


“これは後で食べよう“


まゆさんは好きなものは先に食べずに、大事にとっておくタイプです。


人によってはもったいぶりすぎて、賞味期限を切らしてしまう…
という人までいるらしい。



でもまゆさんは、きっちり食べます。


食べ物を無駄に捨てるのは、嫌いです。



賞味期限はきっちりチェック。


“ああ、今日は食べる気分じゃないけど、もうこれ賞味期限が来ちゃう“


好きなものはいつも、そんな感じでいただきます。



食べたい時に食べればいいのに…



でもどうしても好きな食べ物は、とっておきたくなってしまう。





好きな本やドラマもそうです。



“楽しみは後でとっておこう“

そうやって何年も放置しています。



結局我慢出来なくなって見てしまうものもあるけれど、放置しているものは何年も放置。


その頃には読みたかった本もドラマも、なんだか色褪せていてどうでも良くなっている。



“人の気持ちって、本当に冷めてしまうものなのね“



どうでもいいから、もったいぶらずに見始める。



すると今と作中の時代がずれていて、なんだか違和感を感じます。

特にドラマがそう。



なぜ見たい時、一番いい時に見ないのでしょう。




まゆさんは子供の頃は、花火が大好きでした。



中でも好きだったのが、線香花火。



楽しい花火の時間が終わってしまうのが、とても寂しい。



なので、線香花火をこっそりと隠しておく。



そして花火が終わってしまった頃に…



“こんなところにまだ花火があったよ“



自分で隠したくせに、近くで落ちていた花火をさも発見した風に、両親の元へ持っていきます。



まだちょっとだけ続く、夕暮れの花火。


チラチラと淡い光を放つ一番好きな線香花火が消えゆくのを惜しみながら見つめます。






さて、そんなまゆさんの目の前には現在、好きな食べ物があります。



最後にとっておいた好きな食べ物。



可愛く細工してある、美味しそうなマジパン。



アーモンドの粉と、お砂糖を練り合わせた甘いお菓子。




今日はハロウィンです。

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てんまさんと一緒に、パティスリーマルズのホールケーキを楽しんでいたまゆさん。



 
そのケーキの上にはまゆさんが大事にとっておいた、可愛らしいマジパンが飾られています。




「くそ鬼女、お前は本当に冷たい女だよ」



まゆさんにそんな言われ方をしているのは、てんまさんです。



「てんまちゃん、くそ鬼女にゃの?」



「ちがうよ。くそ鬼女はまゆちゃんのことだよ」



「それはちがうにゃ」



「むぅ、にゃこちゃんがひいきするっ」


ぷこっ。



「なんにゃ?なんでお鼻押してくるんにゃ?」



まゆさんとてんまさんはどちらがマジパンを食べるかで、醜い争いをしています。



「わかったよ。てんまにはこのいちごをあげるから」



「いちごはまゆちゃんが嫌いなだけでしょう」



「マジパンよりは栄養あると思うぞ。栄養とらないと村長に怒られるぞ。ポ村の住民は健康第一!」




「村長に怒られたことは、まだ一度もありません」



「ふんっ、この猫被り!」



「まゆちゃんなんか、ねこさんに逃げ出されて、被ることもできないくせに!」



てんまさんもまゆさんの前では、けっこう頑固。



子供っぽい戦いをする女子ふたり。




「トリックオアトリート」



「にゃ?トビーにゃ!」



そんな女子たちの抗争中に、ポ村に住む子どもさんたちがお菓子をねだりにやってきました。




「あー何それ!ケーキの上のやつ!可愛い」



「欲しいにゃ?」

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「うんっ!」



顔を見合わせるまゆさんとてんまさん。




言い争い終了です。



「ありがとう!大事に食べるね!」


にゃこさんと子どもさんたちの前で、冷静さを取り戻した大人ふたり。



最後はちゃんと大人をやったようです。



「トビー嬉しそうにゃ」



「そうだね」


「よかったよ、ホント」




「じゃぁ、にゃこもねこ森町のニャロウィンに行ってくるにゃ」



「はい、行ってらっしゃい」


「いいなぁ。楽しんでね」




「いいじゃん。こっちはこっちで楽しもうぜ」


「うん!」


ハロウィンの夜はまだ、これからです。