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前回のお話
飼主さんとともに近所に引っ越して来たねこのバーバラさん。ポいもは庭に遊びに来てくれる彼女と仲良くなりたくて仕方ありません。
すれ違う気持ち
引っ越してこられたバーバラさんの飼い主さんのお宅、いわゆる「猫屋敷」には、彼女以外のねこさんもいました。たまにそのねこさんたちが、我が家の庭に現れることがあったんです。
「他のねこさんも来たっ。バーバラさんと仲良くするのが無理なら、こっちのねこさんと仲良しに!」

バーバラさん以外のねこさんたちは、ポいもをチラ見しただけで逃走。
仲良くする所の騒ぎではなさそうです。
「そんなに慌てて逃げなくたっていいのにさ」
そして彼らはその後、ほとんど庭に顔を出すことはなかったのです。
「つまんないの」
寂しく思っているポいもとは違い、バーバラさんは相変わらずお庭でひとり、のびのびとしているようでした。
「ここは一人になれるから落ち着くわ。あたしのおうちには、色んなねこさんがいるから」
どうやら、同居のねこさんたちと上手くいっていない様子のバーバラさん。同居しているねこさんに威嚇している姿を見かけたこともあったので、家にいるのがあまり好きではないのかもしれません。
「もう仲良くなれるねこさんは、いっつもお庭に来てくれるバーバラさんしかいない。ポいもはあれにさわるのだ」
いつも庭に来ている可愛いねこさん。すぐそこにいるのに、全く触れ合えない。小学生だった私は、そんな日々の繰り返しに我慢ができなくなってきました。
失敗から学んだこと
結果、無理矢理襲いかかる。

「きゃー!ちかん?」
そして、するっと逃げられてしまう。
バーバラさんは、嫌な事されても噛みついたり威嚇したりするような方ではありませんでした。
そのため、勝手に触ることがどのくらい嫌なことなのか、当時の私は全く理解できていなかったのです。
「いー!!」

さわりたい!さわりたい!
抱っこしたい!
動物たちにとって、嫌な事しかしようとしない子ども。
バーバラさんは怒りはしないけれど、やはり嫌なものに近づかないよう、避けはします。
「ここのお庭はこわいわ。子どもさんがあたしの身体に触ろうとしてくるわ。一人になれる場所なんて結局ないのよね…」
「バーバラさん、こなくなっちゃった」
嫌われたんだ…
そりゃそうです。
小学生だった私は、バーバラさんの気持ちを理解せず、自分の感情だけを押し付けようとしていました。でも、そんなことをしていたら嫌われるのは当然です。動物との関係も、人間同士と一緒。思いやりは本当に大切だと、痛感しました。まさに自業自得だったのです。
会えなくなってようやく、どれだけ自分がバーバラさんに嫌なことをしようとしていたのかを思い知る。
「バーバラさん…」
寂しく思いながらも都度、庭を確認してしまう毎日。
「来てないよね」

めっちゃ普通に来てる。
「やっぱりうちにいるよりは落ち着くわ」
まるであの日の出来事を忘れているかのように、ゆったりと寛ぐバーバラさん。ねこさんが好きでたまらないのに、なかなか関係を築けずに落ち込んでいた私は、心から安心しました。
彼女の姿だけでも見る事が出来る。
それからは少しずつ、バーバラさんとの距離感を学んでいったポいも。
絆が生まれた瞬間
結果バーバラさんは、徐々にポいものことを覚えてくれ、のちに仲良くなることが出来ました。
初めて仲良くなれたねこさん。

膝の上でも寝るし、お泊まりもしてくれます。
ふわふわに触れたいと願っていた私の心を埋めてくれたねこさん、それがバーバラさんでした。
バーバラさんと接していて、ねこさんというものがどんなものなのか、色々教えてもらいました。
ねこって思ったより変わった生物なんだな、そんな印象が強い気がします。
なのに数年後、バーバラさんはぽんちゃんが来てからはぱったりと来なくなってしまったのです。

家庭でも同居のねこさんと上手くいってなかった感じのバーバラさん。
彼女は人間よりもねこさんの方が苦手だったのですかね?