家族三人で出かけた小さな旅行。その旅行先の林の中で、私は“ある違和感”に気づきました。
「この花、すごくいい匂いがする!」
でも、両親は顔をしかめてこう言ったのです。
「え?何も匂わないけど?」
それは、家族の“老化”をめぐる、切なくも笑える旅の始まりでした。
その1:北国の林で、私だけが感じた香り
私がまだ、実家に住んでいた春先のこと。両親と私の三人でふと思い立ち、小旅行に出かけました。

植物好きな私たちは、花を探しながらのんびりと林の中を散策。すると、ふわっと甘い香りが鼻をくすぐりました。
「なんか花の匂い、すごいね!」と私が言うと、両親は顔を見合わせて首をかしげます。
「え?何も匂わないけど?」
「うん、全然」
えぇっ、まさか!?
こんなにハッキリ香ってるのに…!
「私の鼻、信じてないな?」と、私は鼻をクンクンさせながら香りの元を探し始めました。
数分後、小さな花を発見。
「これだよ!この花、沈丁花みたいな甘い匂いがする!」
しかし両親が鼻を近づけても、やっぱり「無臭」とのこと。
「ポいもちゃんたら…何も匂わないじゃない」
そんな母からの一言。花そのものを匂っても何も感じない?
それじゃぁ、自分のうんちを嗅いでも平気な顔をしている、ぽんちゃんやポにゃちゃんと一緒じゃないか!!
すると父が花をじっと見て言いました。
「これはミツマタだな。沈丁花の仲間だから、ポいもには似た香りに感じるのかもしれない」
父の植物知識に、ちょっと救われた気がしました。
沈丁花に比べれば確かに香りはほのかだったため、両親には分からなかったの…かなぁ…
その2:母の目と、私の味噌汁トラウマ
その日の夜、宿での夕食を思い出しながら、ふと最近の母の“視力”の話になりました。
「そういえば、おかあの味噌汁さ…」
ある日、母が作ってくれたかぶの葉の味噌汁。お椀をのぞくと、何やら小さな黒い点々が浮いています。
よく見ると、それは無数の小虫!
かぶの葉にくっついていたらしい小さな虫たちが、ぷかぷかと味噌汁の海を漂っていたのです。

私は絶句。
かぶの葉の味噌汁というより、小虫の味噌汁…
それを訴えると母はスプーンで軽く混ぜて、こう言いました。
「虫なんて入ってないじゃない」
いや、見えてないだけだよね!?
私が「虫が…」と口ごもると、母はちょっとムッとして言いました。
「いいわよ、飲みたくないなら飲まなくても!!」
出た!母の逆切れ…
…いや、だって…
虫入り味噌汁を飲む勇気なんて、ないんだもの。
虫に怯える私に父がいつもの一言。
「虫を食ったぐらいで死にゃあしない」
そのセリフを聞くたびにいつも思う。
ほんとかな…?虫には菌とか付着していることあるじゃん…と。

嗅覚が鈍くなった父と母。
視覚が怪しくなってきた母。
でも、そんな変化も、こうして笑い話にできるのが家族ってものなのかな?
「老い」は避けられないけれど、
それを笑い飛ばせる日常が、何よりありがたいなと思った旅の思い出でした。
この記事を書いた人:ポ姉妹**
・ポあね(薬剤師):漢方専門薬局勤務。産業カウンセラー、漢方茶マイスター等、心と体の資格を多数保有。
・ポいも(語り手):専門知識を物語でわかりやすく届ける妹。
漢方・アロマ・心理学の視点から「明日、生活が整うヒント」をストーリー形式で発信中。
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