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前回のお話
観光客にもよい印象を持ってほしい村長は、村民にもしっかり規律を守って欲しい。ポ村民の中では、まゆさんとUSAさんが村長に目をつけられていました。そんな村長はポ村を広く知っていただくため、ポ村の特産品である梅を持って都会に移動中。それを知ったまゆさんとUSAさんは、羽目を外せると昼間っからお酒を飲んで浮かれていたのですが…

「!!」

”いっいるー”
まゆさんの視線の先には、都会に行っていたはずの村長が、無言で立っていました。
「そっそそそ…」
「まゆさん、USAさん!」
村長の言葉に、二人は飛び上がる。
「そっ!そんっそんちょっ!」
「これっ!!」
村長が指差したのは、転がる梅酒のグラス。
「ひぃっ。ごめんなさいっ」
「お二人!それはポ村の梅酒じゃないですか?」
「ポっポム?」
「美味しいですか?ポ村の梅酒は!」
呆然とするまゆさんとUSAさんは、思わずお互いの顔を確認。昼間から酒を飲んでいることを怒られると思っていたのに、なぜか村長は興奮気味に、そして嬉しそうに微笑んでいます。
「村に貢献してくれているのですね!」
「え?」
村長の承認欲求は、長太郎青梅が都会で好評だったことで、天井知らずに高まっていたみたいです。
「ええっ!はいっ。もちろん!」
「ポ村の梅酒は甘すぎずカロリー控えめでかつ、おいしいですから!」
「そうですよね!」
「そうですよ。そりゃそうです!間違いないです!!」
実はまゆさんは子ども舌なので、ビールやワインが苦手。梅酒のような甘くて飲みやすいお酒じゃないと飲めないのは、村長には内緒。
「ほんとですよ。私、嘘嫌いですから。冗談とかいっちばん嫌い!そもそも言ったことがないですから!この梅酒、すっごく美味しいです!これ、保証します!」
「ふふ、ですよねー」
ポ村の梅酒を褒められてご機嫌な村長は、さらに言葉を続けます。

「長太郎青梅でお好きなのは梅酒だけですか?
「もちろん、梅酒以外もおいしいですよ」
「ええ、ええ。例えば?」
「例えば?」
ギラギラと輝く村長の目にまゆさんたちは気圧されています。いやむしろドライアイにならないか心配なくらいです。
「あ…えっとですね。梅の実のようかんとか」
「いいですね。高級感のある一品ですよね。それから?」
「梅のシャーベットもありますよね。毎年夏になると食べたくなります」
「分かります。私もです。で、で?」
村長はまだ欲しがっています。”ポ村の品が認められてよかったですね”と心の中で呟きながら、まゆさんとUSAさんは、この後しばらく村長の「ポ村愛」の演説に付き合わされることを覚悟せざるをえませんでした。
自由を求めていたはずの彼女たちに、小さな足枷。
でもこうして村長ともども、みんなでポ村を盛り上げていきたいですね。
【村長の取扱説明書、略して鳥セツ】
ポ村民がいい子だと、とても喜びます。
村の特産品が褒められると、とてもとても喜びます。
けっこうしつこく欲しがります、気をつけましょう。