マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

薬の服用時間

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「あ、これ?これはね…ペットボトルだよ。たくさん並べると、猫除けになるって言われてるんだって。実際はどうだか分からないけど」

 

「にいに」

「これはワンちゃんの置物だね」

 

「お?」

「本物だと思った?よく出来ているものね。そうそう、カエルの置物を玄関に置く人も多いんだよ。カエルって縁起がいいんだって。縁起、分かるかな?」

 

たまちゃんはお兄ちゃんであるクロ太さんに対し、にこにこしながらうなづいています。

 

 

”無事に帰る””若返る””福が帰る””お金が帰る”などと言われ縁起がいい生き物とされているカエル🐸

 

ある神社ではカエルは神の使いとされ”蘇る(黄泉返る)”とも言われています。外国でも雨を降らしてくれる神の使いとされているとのこと。

 

「にいに」

「これは手袋だね。右手の手袋かな?」

 

たまちゃんはなんでも聞きたいお年頃。

 

「手袋ってよく落ちてるんだよね。ゴミになるから拾っておこう。前に右手と左手どっちが多く落ちているか、調べているって人がいたよ。でもどうして落とすんだろうね。新型コロナが流行っていた時は、マスクもよく落ちてたなぁ。パンが落ちているのも見たことある。不思議な落とし物だよね。ファフロツキーズ現象みたい。あ、たまちゃん分かる」

 

たまちゃんは嬉しそうにうなづいています。

 

おそらくたまちゃんには何も分かってはいないのでしょうが、お兄ちゃんが質問にちゃんと答えてくれるのが嬉しいようです。

 

「ファフロツキーズ現象が何なのか、僕もちゃんと分かってないけれど、僕たちは警戒しなければならないと思うんだ」

 

『ちなみにファフロツキーズ現象とは』

怪雨とも呼ばれ、カエルやオタマジャクシを始め、魚などが空から落下してくる現象のこと。降ってくるものが水棲生物が多い事から、鳥が空から吐き出したものではと言われています。

ただ100年ほど前に、鳥のものと思われる血の雨が降ったという報告もあるとのこと。

他の原因として竜巻や台風などの突風により巻き上げられたとも言われていますが、はっきりとは解明されていないそうです。

 

早く身体を大きくしたいクロ太さんはおやつの時間になると、たまにマメチュー先生お手製のスムージーを飲みに来るのです。

 

「早く大人になってたまちゃんのことも、もっとちゃんと守ってあげるからね」

たまちゃんは再び嬉しそうにうなづいています。

 

 

”大人の蛙になる”

 

クロ太さんは美味しそうに、でも難しそうな顔をしてスムージーをすすっています。

 

「マメチュー先生聞いても良いですか?」
「はい、何でしょう?」
 
「食べる時の時間のことなんですけど、摂取すると体にとってよりいい時間ってあるんですかね」


早く成長したいクロ太さんは、食べ物を効率よく摂取したいみたいです。
 
「そうですね。納豆なんかは夜に食べた方が、より身体に良いと聞いた事があります」

「ナットウキナーゼは、寝ている間に活性化して、血液をサラサラにするため頑張ってくれるのです」

「なるほど」

「あまりこだわり過ぎなくても大丈夫ですよ。食べたい時に美味しく食べるのが、一番です」

「はい…」


「お薬と食品は違いますからね」
 
 「でもお薬の服用時間にも詳しくなくて…教えて貰っても良いですか?」
「もちろんです。正しく薬を服用して貰うのが、私たちのお仕事ですから」
 
「僕じゃなくて、たまちゃんなんですけど、まだ幼いからか病気になることが多くて。食前とか食後とか服用時間の指示が色々ありますけど、それってどのくらい前、もしくは後なんですか?」

 


“食前”

食事の20~30分前のこと。
漢方薬は吸収を良くする為、食前に服用。
他、食欲を抑える薬・食物の消化吸収を抑える薬等は、食前に飲まないと効果がありません。
 
“食後”

食後の20~30分後までのこと。
食べ物と一緒の方が吸収が良くなる薬、消炎鎮痛剤等、胃がカラの時は胃を荒らしやすい薬が食後に服用した方が良い薬です。食事をとると、十二指腸から胆汁酸が分泌されて消化吸収がされやすくなり、薬の効果が上がると言われています。
その他、薬を習慣として飲み忘れないようにする為、食後に飲むという場合もあります。
 
“就寝前”

飲むと眠くなるもの、寝ている間に効果があるものは、就寝前に服用します。これら定期薬以外にも“頓服薬”というものもあります。症状・発作が出そうなとき、出てしまったとき等、必要に応じて使用します。
但し解熱剤や鎮痛剤等、効かないからと続けて使用したり、必要以上に使用したりはしないようにしましょう。
 
 
たまちゃんにとっては頼りになるお兄ちゃんのクロ太さんが、マメチュー先生に教わっている所をじっと見つめていました。お兄ちゃんはこうしてしっかりお勉強して、自分に教えてくれているのだな、と思っているようです。


優しいお兄ちゃんがいてたまちゃんは幸せですね。