マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

食間について その3

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前回のお話

繊細な性格の農家のケイヒさんは、大切な野菜たちを心配し過ぎて胃を痛めてしまいました。食欲はわきませんが元気をつけないと、野菜たちを守れません。

 

「そうだ、ナメ江さんに貰ったそうめんに薬味を入れて食べよう」

しかし食べてる途中で、少しツラくなってきてしまう。

 

(残すのは嫌だな…。そういえば新しく買った胃薬があったっけ?)

 

薬を飲むのが苦手なケイヒさんですが、心配性なため薬は常に常備。もし何かがあった時のためにと、薬はいつも準備しています。

 

「ええと、用法用量は」

 

心配性で繊細なケイヒさんは、毎回薬の用法用量が書かれた添付文書を確認してから服用します。

※薬剤師が扱う医療用医薬品の添付文書は2021年に廃止され、電子化が始まっています。但し、ドラッグストアで購入できる一般用医薬品に関しては添付文書は残っている。

 

どうやら購入直後にチラッと内容の確認をし、その後何かに気を取られてしまったのか、そのままどこかに放置してしまったらしい。鍵のかけ忘れと同じようなパターンです。

 

「やばい、内容なんだった?」

箱の側面にも、多少の説明が記載されている事に気付いたケイヒさん。

 

“食間に服用”

 

「食間か。…食間?」

さすがに、食事中のことじゃないよな。

 

飯食い始めて10分後とか、腹五分目とかに飲むなんて変だし…

 

うーーん。。。

 

“考えすぎる心配性の大人の男”

 

ケイヒさんはいつもきっちり、服用方法をを守るタイプなのです。

 

「今まで胃薬はほとんど食前だったよな。食間に飲むタイプって、服用したことなかったかも」

※食欲を増進させたり、胃の粘膜を保護する働きのある薬は食前。

 

 消化を助け、胃を守る胃粘膜の分泌を活発にする働きのある薬は食後に服用。

「何だよ、にゃこ。いつから」

 

窓から侵入してきた空き巣のごときねこさんは、何やら手にメモを持っていました。見てみるとそれは、ケイヒさん自身が書いたと覚しきメモでした。

 

「これ、ころがってきたにゃ」

「あれ、これは…俺が書いたメモ」

 

前にマメチュー先生から食間について、ほんのり聞いていた事を思い出す。

 

“よく食事中に服用する事を、食間だと勘違いする方がいるのです”

 

そんな事を言っていたマメチュー先生。

「で?食事と食事の間って具体的にいつのこと?」

 

自分のメモには“食事と食事の間”その一文しか書いてありませんでした。大抵メモというものは、忘れた頃に読み返しても、意味が分からないように書いてあるものです。

 

食事と食事の間って言っても。

 

一日に何回も食事する人は? 
逆に一日一回しか食べない人もいし。
食事時間が、常に不規則な人だっているじゃないか。
 
「結局、いつ飲んだらいいんだよ」
毒と薬は紙一重。
 
ちゃんと用法用量を守らないと、大変な副作用があるかもしれない。考えすぎてケイヒさん、胃が限界。


続きます