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前回のお話
ケイヒさんは、心配性仲間のナメ江さんからおそうめんと薬味を頂きました。そんな彼はナメ江さんと会話をしている途中なのに、心配性をこじらせて大事な農作物のことが気になり、一人様子を見に行くことに…
ケイヒさんは育てたお野菜を、子どものようにいつも大事にしてます。野菜も災害・病気などで、いつどうなるか分からないので心配がつきません。
そんな時、背後に漂う邪悪な気配。
「なんだよ、お前!どうやって入ってきた!?」
ポ村の出入り口にある鳥居には、悪しきものが村に侵入出来ないよう、結界としての効果があります。
“人に悪さしたくなる症候群”を患っている悪しきものは、鳥居の外からでも悪さをしたくて仕方がありません。
自分も腐っているのに、他の野菜や土を腐らせたり、鳥居の外から人間に臭泥だんごをぶつけてきたりします。
ケイヒさんはそんな悪しきものが許せない!
「ほんと嫌い」
そんなケイヒさんにとっては、すごくありがたい鳥居の存在。
生まれたての小さな悪しきものはこのように、結界を通り抜けることは出来ません。しかし長く生きている悪しきものは、たまにスルリと結界をすり抜けて、ポ村に侵入してきてしまうようです。
腐っている悪しきものは通常、短命で自然と溶けて無くなってしまいます。
病気を患ってしまったお野菜。病気の野菜たちはそのままにしていると、やがて亡くなってしまいます。そのお野菜たちが亡くなる前に、“カゲ”の影響を受けると、たまに悪しきものに変化してしまうのです。
俺の野菜たちの中から、あんなものを生み出す訳にはいかない。そのため、ケイヒさんは毎日お野菜の様子を確認。
それでも病気を防げる訳ではないので、体調が悪そうなお野菜たちには、都度、薬剤や肥料を投与しています。
「野菜の病院があれば安心なんだけどさ。お医者さんが訪問してくれるとか」
多少言葉使いが乱暴な時もあるケイヒさんですが、本質的な部分はとても繊細。自分が育てたお野菜たちのことが、心配で仕方がないのです。
「病気にはならないよう細心の注意はしている。でも災害が起きたら?俺はちゃんとみんなを守ってやれるのか? 地球ってやつは隙あらば、災害を起こそうとしてくるから…そういうやり方で、生物や植物を淘汰しようとしてるんだろうか」
「う、胃が痛ぇ」
なんだか、食欲もないな。いやでもみんなのことを守るためにも、体力つけなきゃ。家に帰ってなんか食べなくちゃな。だけど、何食べよう。
「そうだ。ナメ江さんにもらったそうめん」
育てた農作物と引き換えに、そうめん(乾麺)と薬味を頂いていたことを思い出したケイヒさん。
「これ使ってそうめん雑炊にしよう」
そうめんをお米の代わりに細かく砕き、出汁と一緒に茹でてそこに卵を落とす。最後に葱・シソ・生姜を加えて頂きます。
「ポ村の梅もあったっけ」
熱々のそうめん雑炊をフ~フ~しながら、ゆっくり口にしていきます。葱・シソ・生姜・梅と全て胃に良い食材ばかりですが…
途中で食べるのが少しツラくなってきました。
続きます