マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

花粉症の季節 その1

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暖かくなり昆虫や、冬眠から目覚めた生物が活動的になる季節がやってきました。

 

ポ村で農家を営むケイヒさんも活動的。

種まきは楽しいけれど、とっても忙しいのです。

 

種まきが終わると今度は、春のお野菜を収穫。新じゃがいも、春キャベツ、新玉ねぎ、アスパラガス等、春の日差しを浴びて元気に育っていました。

 

実は野菜を使ったスイーツを作っているポ村の可愛いお菓子屋さん”パティスリーマルズ”から配達のお願いをされていたので急がなくてはなりません。

 

「マルズさんの野菜スイーツは、俺も早く食べたいしなぁ」

ポ村内ではケイヒさんが作ったお野菜は、業者を通さず自身で配達することが多いようです。

お年寄りや忙しい方が多いポ村では、喜ばれているサービス。

 

なので、マルズさん以外にも配達をお願いされているお宅はたくさんあるみたい。ポ村民にケイヒさんのお野菜は人気なのです。ケイヒさんの春のお野菜を食べるのを、楽しみにしている住民たち。

期待して待っててくれる人たちを、待たせたくはありません。

 

「急げ…っくしょん!あー!」

 

春は国民病と言われる、花粉症の季節でもあります。

ケイヒさんのお野菜たちも目覚めているくらいですから、スギの花なんかはとっくに目覚めています。それこそ活動的です。

ケイヒさんも例に漏れず花粉症。

 

「くっそ、今年最初の花粉が飛び始めてからだいぶ立つのに、花粉の野郎はまだ飛び散りまわってんのか」

 

”っくしょん!”

 

「もー!かゆいしさー」

薬を服用すれば、少しは症状が落ち着くと思うのですが、ケイヒさんは薬がすっごく苦手。

副作用が怖いし、変な味がするお薬も飲めません。

「ほんと?」

「ああ、いやだいやだ。薬なんて」

 

”はくしょんっ!”

 

「ティッシュ、ティッシュ」

とはいえ、いちいち中断が入り、思うように仕事がすすんでいないのが現実。

くしゃみもつらそうですが、目の違和感の方が仕事中はさらにつらそう。

手は土でよごれ、かゆくても上手く掻くことが出来ません。

 

「うう、目がー鼻がー」

ズビビビ…

 

ケイヒさん、ほんとに毎日つらそうです。

 

「にゃー!」

 

「おわっ」

人が何かをやっていると、近くで見物したくなるのがねこさんの性質。

「今忙しいから、大人しくしていてくれな?」

 

続きます