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早朝、とてもヒンヤリとした空気に包まれていました。寒い日が続くと、嫌になるものです。
ですが幸い、徐々に暖かくなってきたので、こたつ布団を干す事にした三すくみの皆さま方。
「寒い季節は、布団を干す、タイミングが、分カラナイのよね」
今日は、体温を上げるのに適した朝になりつつあるようです。
三すくみの皆さん、午前中は主に体温を上げることに専念。
「ア!朝は用事があるんダッタ」
そんな事を思い出しても、体温を上げることに集中してしまいます。
冬の暖かい日差しを浴びることが出来るこんな日は、世の中のおじいさん、おばあさん、そしてねこさんたちも日向ぼっこをしていることでしょう。
体温を上げている時はジッとしているのに飽きてしまい”早く体を動かしてお仕事したい”なんて思っているのですが、体が暖まって気持ち良くなってくると、今度は「このままずっとこうしていたいなぁ」と考えるようになってしまう。
冬は暖房器具のそばから離れがたくなる、それと同じようなもの。冬の”暖”は人をなまけものにするようです。
「そろそろ、お仕事シナイト」
「でも今日は、なかなか身体が温マラナイネ」
暖かくなってきたと思ったのに、太陽が雲に隠れてしまったのか、また寒くなってきました。
「お?どうしたんだ、お三方」
「こんな寒い日に、唇を青くして日向ぼっこかい?」
「ついさっき迄は、暖かかったカラ、日向ぼっこに、良いと思ッタんだけど」
「ああ…でも今は陽射しが弱いみたいだのう」
「残念ダワ。折角、お布団も、干したノニ」
「所でパカじいは、こんな時間にドウシタンデスカ?」
少し寒そうにしているフロ次さんが、パカじいに尋ねます。
「冬は朝から、身体を温めたくなるじゃろ?だからこの時間からつい、飲みたくなるんじゃよ」
パカじいは手を口元に持っていき、クイッとした仕草をします。
「生姜湯でも、ご用意シマショウカ?」
「違うよ。クイッといったらお酒じゃよ」
「朝から、お酒デスカ?」
「開店前に悪いのぅ。ビールと違って、お酒の中でも日本酒は温まるのじゃろ?」
「パカじいッタラ、お酒が本当お好きよね」
「おたくらは、まだ休んどるといいさ。酒はわしがボトルキープしておる日本酒を飲むとする。早く飲まんと味が悪くなるじゃろて」
「ソウデスケド、飲み過ギナイようにして下サイネ」
「分かっとるよ」
寒い日は朝からお酒で温まる。
それがパカじいの温活です。
「お酒は、棚の中に入ッテイマスから」
「じゃ、ちょっと店内、邪魔するよ」
続きます