マメチュー先生の調剤薬局

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ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

ガマの油 その1

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早朝、とてもヒンヤリとした空気に包まれていました。寒い日が続くと、嫌になるものです。

 

ですが幸い、徐々に暖かくなってきたので、こたつ布団を干す事にした三すくみの皆さま方。

 

「寒い季節は、布団を干す、タイミングが、分カラナイのよね」

 

 

今日は、体温を上げるのに適した朝になりつつあるようです。

 

三すくみの皆さん、午前中は主に体温を上げることに専念。

 

「ア!朝は用事があるんダッタ」

 

そんな事を思い出しても、体温を上げることに集中してしまいます。

冬の暖かい日差しを浴びることが出来るこんな日は、世の中のおじいさん、おばあさん、そしてねこさんたちも日向ぼっこをしていることでしょう。

 

体温を上げている時はジッとしているのに飽きてしまい”早く体を動かしてお仕事したい”なんて思っているのですが、体が暖まって気持ち良くなってくると、今度は「このままずっとこうしていたいなぁ」と考えるようになってしまう。

 

冬は暖房器具のそばから離れがたくなる、それと同じようなもの。冬の”暖”は人をなまけものにするようです。

 

「そろそろ、お仕事シナイト」

「でも今日は、なかなか身体が温マラナイネ」

 

暖かくなってきたと思ったのに、太陽が雲に隠れてしまったのか、また寒くなってきました。

 

 

「お?どうしたんだ、お三方」

「こんな寒い日に、唇を青くして日向ぼっこかい?」

「ついさっき迄は、暖かかったカラ、日向ぼっこに、良いと思ッタんだけど」

 

「ああ…でも今は陽射しが弱いみたいだのう」

「残念ダワ。折角、お布団も、干したノニ」

「所でパカじいは、こんな時間にドウシタンデスカ?」

少し寒そうにしているフロ次さんが、パカじいに尋ねます。

 

「冬は朝から、身体を温めたくなるじゃろ?だからこの時間からつい、飲みたくなるんじゃよ」

 

パカじいは手を口元に持っていき、クイッとした仕草をします。

 

「生姜湯でも、ご用意シマショウカ?」

「違うよ。クイッといったらお酒じゃよ」

 

「朝から、お酒デスカ?」

「開店前に悪いのぅ。ビールと違って、お酒の中でも日本酒は温まるのじゃろ?」

 

「パカじいッタラ、お酒が本当お好きよね」

「おたくらは、まだ休んどるといいさ。酒はわしがボトルキープしておる日本酒を飲むとする。早く飲まんと味が悪くなるじゃろて」

 

「ソウデスケド、飲み過ギナイようにして下サイネ」

「分かっとるよ」

 

寒い日は朝からお酒で温まる。

それがパカじいの温活です。

 

「お酒は、棚の中に入ッテイマスから」

「じゃ、ちょっと店内、邪魔するよ」

 

続きます