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クリスマスも終わり、大晦日が近づいてきました。
ポ村ではこの期間に一番雪が降るので、冬眠したり家の中にこもったりする人が多いです。
まゆさんも現在、冬休み中の冬ごもり中。
ポ村に来てから、なぜかこの期間は物凄く眠たくなり、数日間眠ったままになることが多くなりました。
そのため、積雪量が穏やかになるお正月までの2、3日ほどは起きることなく眠りにつきます。
これは人ぞれぞれですが、まゆさんの場合は28、29日頃から毎年猛烈に眠くなり、そのまま大晦日のお昼ぐらいまでは一切起きず爆睡。
そんな今日は28日。
そろそろ冬眠に入ってしまう頃なのですが…
「ねむーいっ!あ、にゃこもう冬眠しちゃってんじゃん」
「にゃむにゃむ…」
にゃこさんは冬眠に向け、すでにたらふくご飯を食べたらしく、まゆさんより先に夢の中みたいです。
一方まゆさんは一人、眠気を我慢しながらふらふらと家の中を動き回っています。
「ああ、お腹減ったー」
今まで大掃除をしていたまゆさんは、食事の準備が遅れてしまっていたようです。
具材は牛肉・たまねぎ・ピーマン・マッシュルーム
まゆさんの好きな物ばかりが入っています。
根菜類の煮物が苦手なのでニンジン、じゃがいもは入っていません。
「あー眠い。寝ちゃおっかなぁ。いやでもこのまま数日冬眠してたら、餓死して目が覚めなくなってしまう気がする」
”きゅるきゅるきゅる”
「眠いけど、お腹もペコペコだー」
まゆさんは人間の欲求のうち、睡眠欲と食欲の挾間で苦しんでいる様子。
部屋の中では、シチューをコトコト煮込む音だけが聞こえています。
まゆさんは食材がトロットロに煮込まれているシチューが好きなので、より長めに煮込んでいる。
”コトコトコト”
好き嫌いがはっきりしているまゆさんは、食材が固いと急に食べれなくなってしまうのです。
「柔らかくなるまで、もうちょっと煮るかなぁ。でも寝ちゃいそうだなぁ」
そんなまゆさんは先に眠っているにゃこさんに、再びLock-on。
「にゃこーあたしを置いていかないでー、あたしを一人ぼっちにしないでー」
まゆさんは無駄に話しかけて、自分自身の目を覚まそうとしている様子。
深い眠りについているにゃこさんは、まゆさんの声にはもちろん無反応。
”ぷぴー”
“コトコト”
シチューを煮込む音に加え、にゃこさんの寝息。
「あーあ、寂しいなぁ」
……。
まゆさんはにゃこさん寝息を聞きながら、隣でうとうとし始める。
”コトコトコト”
”ぐるぐるきゅー”
「ああっ、びっくりした!お腹鳴った!眠気より空腹勝った!シチュー…は、まだあともうちょっとかな?やばい。このまま眠ったらいよいよ死にそう」
”コトコトコト”
「むっ?この小説は!てんまに借りてたやつだ!冬休み中に読もうと思って忘れてた!楽しみにしてたのにっ」
”コトコトコト”
「やっぱり面白い。いや、でもこんなの今読んだら眠くなっちゃうっ。でもいい加減、年明けには返さないと。だけど寝たら死ぬっ」
「にゃこ!くすぐったいっ」
”ぷぴー”
「ってあれ?寝ちゃってた?」
まゆさんはすでに夢の中の住人であるにゃこさんに、助けられたようです。
眠りながらもまゆさんが心配だったのでしょうか。
「…いい匂いする。そろそろシチュー出来たかな?おお、いい感じ。じゃあ、いただきまーす」
「お腹減ってるとどうしてこう、なんでも美味しく感じるんだろう」
お次は頂き物のクラッカーにシチューを付けて頂く。
「たっぷりシチューを染みさせちゃお」
あくまで食感があるよりも、柔らかく、かつ味が染みている方がお好み。
シチューの後はデザートのジャムパーティー。
これもクラッカーに付けて食べます。
「えへへ。どれから食べようかな」
前に父親から貰って作った桑の実ジャムと、マスカルポーネをクラッカーやクッキーにつけて食べます。
記事:冬支度
他にもあんこ、ごまペースト、ピーナッツバター等をクラッカーに付けて食べる。
早食いしてお腹を壊さないよう、テレビを見ながらゆっくり食べます。
「やっと落ち着いた。おなかいっぱい」
「けっこう降ってきたなぁ」
「テレビを消すともう、何にも聞こえない。年末が来たって感じが改めてするなぁ」
「ううぅ、やばい。体があったまってきたら、すごくねむくなった。早く…洗い物しておかないと。残ったシチューは冷凍して…」
「まだ外で仕事している人いるのかなぁ。偉いなぁ」
お風呂に入り、歯磨きも終わったまゆさんは、冬眠に入る準備が整いました。
ようやく、のそのそとベッドへ向かいます。
さてと。
では、みなさん、本日はここまで。
おやすみなさい
良いお年を。