マメチュー先生の調剤薬局

マメチュー先生の調剤薬局

ねずみの薬剤師、マメチュー先生の日常と、調剤薬局でのお仕事を薬の知識も交えながらほのぼのと描いています。猫好き、猫飼いの管理人の飼い猫エピソードも時々登場します。

冬眠する人

⚫︎本物語を最初からご覧になりたい方はこちら

⚫︎物語の概要をご覧になりたい方はこちら

 

クリスマスも終わり、大晦日が近づいてきました。

ポ村ではこの期間に一番雪が降るので、冬眠したり家の中にこもったりする人が多いです。

 

まゆさんも現在、冬休み中の冬ごもり中。

ポ村に来てから、なぜかこの期間は物凄く眠たくなり、数日間眠ったままになることが多くなりました。

 

そのため、積雪量が穏やかになるお正月までの2、3日ほどは起きることなく眠りにつきます。

これは人ぞれぞれですが、まゆさんの場合は28、29日頃から毎年猛烈に眠くなり、そのまま大晦日のお昼ぐらいまでは一切起きず爆睡。

 

そんな今日は28日。

そろそろ冬眠に入ってしまう頃なのですが…

 

「ねむーいっ!あ、にゃこもう冬眠しちゃってんじゃん」

「にゃむにゃむ…」

 

にゃこさんは冬眠に向け、すでにたらふくご飯を食べたらしく、まゆさんより先に夢の中みたいです。

 

一方まゆさんは一人、眠気を我慢しながらふらふらと家の中を動き回っています。

「ああ、お腹減ったー」

今まで大掃除をしていたまゆさんは、食事の準備が遅れてしまっていたようです。

具材は牛肉・たまねぎ・ピーマン・マッシュルーム

まゆさんの好きな物ばかりが入っています。

根菜類の煮物が苦手なのでニンジン、じゃがいもは入っていません。

 

「あー眠い。寝ちゃおっかなぁ。いやでもこのまま数日冬眠してたら、餓死して目が覚めなくなってしまう気がする」

 

”きゅるきゅるきゅる”

 

「眠いけど、お腹もペコペコだー」

まゆさんは人間の欲求のうち、睡眠欲と食欲の挾間で苦しんでいる様子。

 

部屋の中では、シチューをコトコト煮込む音だけが聞こえています。

まゆさんは食材がトロットロに煮込まれているシチューが好きなので、より長めに煮込んでいる。

 

”コトコトコト”

 

好き嫌いがはっきりしているまゆさんは、食材が固いと急に食べれなくなってしまうのです。

「柔らかくなるまで、もうちょっと煮るかなぁ。でも寝ちゃいそうだなぁ」

 

そんなまゆさんは先に眠っているにゃこさんに、再びLock-on。

 

「にゃこーあたしを置いていかないでー、あたしを一人ぼっちにしないでー」

まゆさんは無駄に話しかけて、自分自身の目を覚まそうとしている様子。

深い眠りについているにゃこさんは、まゆさんの声にはもちろん無反応。

 

”ぷぴー”

“コトコト”

 

シチューを煮込む音に加え、にゃこさんの寝息。

 

「あーあ、寂しいなぁ」

 

……。

 

まゆさんはにゃこさん寝息を聞きながら、隣でうとうとし始める。

 

”コトコトコト”

”ぐるぐるきゅー”

 

「ああっ、びっくりした!お腹鳴った!眠気より空腹勝った!シチュー…は、まだあともうちょっとかな?やばい。このまま眠ったらいよいよ死にそう」

 

”コトコトコト”

 

「むっ?この小説は!てんまに借りてたやつだ!冬休み中に読もうと思って忘れてた!楽しみにしてたのにっ」

 

”コトコトコト”

 

「やっぱり面白い。いや、でもこんなの今読んだら眠くなっちゃうっ。でもいい加減、年明けには返さないと。だけど寝たら死ぬっ」

「にゃこ!くすぐったいっ」

 

”ぷぴー”

 

「ってあれ?寝ちゃってた?」


まゆさんはすでに夢の中の住人であるにゃこさんに、助けられたようです。
眠りながらもまゆさんが心配だったのでしょうか。

 

「…いい匂いする。そろそろシチュー出来たかな?おお、いい感じ。じゃあ、いただきまーす」

「お腹減ってるとどうしてこう、なんでも美味しく感じるんだろう」

 

お次は頂き物のクラッカーにシチューを付けて頂く。

「たっぷりシチューを染みさせちゃお」

あくまで食感があるよりも、柔らかく、かつ味が染みている方がお好み。

 

 

シチューの後はデザートのジャムパーティー。

これもクラッカーに付けて食べます。


「えへへ。どれから食べようかな」

前に父親から貰って作った桑の実ジャムと、マスカルポーネをクラッカーやクッキーにつけて食べます。
記事:冬支度
他にもあんこ、ごまペースト、ピーナッツバター等をクラッカーに付けて食べる。
早食いしてお腹を壊さないよう、テレビを見ながらゆっくり食べます。
 

「やっと落ち着いた。おなかいっぱい」

 

「けっこう降ってきたなぁ」

 

 


「テレビを消すともう、何にも聞こえない。年末が来たって感じが改めてするなぁ」

 

 

「ううぅ、やばい。体があったまってきたら、すごくねむくなった。早く…洗い物しておかないと。残ったシチューは冷凍して…」

 

「まだ外で仕事している人いるのかなぁ。偉いなぁ」


お風呂に入り、歯磨きも終わったまゆさんは、冬眠に入る準備が整いました。

ようやく、のそのそとベッドへ向かいます。

 


さてと。

では、みなさん、本日はここまで。

おやすみなさい

良いお年を。