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前回のお話
冬を迎えたポ村の朝。元気な子どもトビーくんとペンネくんは、美容師のハイエさんを連れてお散歩をしていました。彼らの近くではてんまさんと、ハイエさんに片思い中の妖精の少女シルプさんがおしゃべりをしています。
「ねぇ、てんま。女の子同士のおしゃべりっていいよね。なんかおちつく」
女子同士のおしゃべりセラピー。
村人各々が心を癒す術を持つ、それはセルフメディケーションを進めている村長がすごく喜ぶことだと思います。
「あーそんでーごはんたべー、よーくねむるー♪」
お散歩中のハイエさん、トビーくん、ペンネくんたちが、美容室近くにいたシルプさんたちの元に向かって歩いてきたようです。
「あー、てんまちゃんだ」
「おはよう」
「妖精さんもいるー」
「…」
「ほんとだ、一緒にあそぼー」
人見知りの妖精の少女シルプさんは、ハイエさんを見てあわてて顔を隠すようにそむけています。
「ハイエさん、ほんとに来ちゃった。ほんとに来ちゃった!」
「だって妖精さん、一度も遊んでくれたことなーい」
「なーいっ」
「トビーくん、ペンネくん、しょうがないよ。今度遊んでもらおう」
「うーん、わかったぁ」
「ハイエー。このはっぱの名前はなんていうの?」
「ええ?なんだろうね」
ハイエさんはこの手のことに詳しそうなてんまさんの方を、助けを求めるかのようにちらっと見ています。
「…」
「ああ、これは”コナラ”の葉っぱだね。この辺で見たことないなぁ。遠くからあそびにきたのかな?」
「コナラ?」
「そう、秋になるとどんぐりさんがいっぱいなる木だよ」
「どんぐりは分かるー」
「みの虫おばさん。ごめんなさい」
「大丈夫ですか?」
「…」
一日のほとんどを蓑の中で眠っているおばさん。
眠くてぼんやりしているのか、トビーくんの挨拶に微かにうなづくだけでした。
とすとすとす。
そこへ誰かが近づいて来る足音が…
「マメチュー先生!」
足音の主は、いつも仕事で疲労困憊のハイエさんに、差し入れを持ってきたマメチュー先生でした。
「ここでお会いできてよかったです」
「差し入れ?ハイエさんに?」
一日一つ食べればポ村の医師、くまじろ先生が必要なくなるというパワーの源、美味しいリンゴの差し入れです。
リンゴポリフェノール・ビタミンC・ペクチン等、栄養たっぷりのリンゴ。
その他マメチュー先生手作りのアップルパイもあるようです。
漢方にも使われるシナモンが入っていて、とても良い香りがします。
それとすりおろしリンゴ入りの飲むヨーグルト。
どれも全てお疲れのハイエさんを癒し、元気にさせるメニューです。
続きます