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前回のお話
ねこさんが大嫌いなまゆさんの伯母ペリコ。にゃこさんがまゆさんパパと遊びに行っている隙に、まゆさん宅に遊びに来たようです。ペリコ伯母さんは一人、おしゃべりをし過ぎたせいか、のどが痛くなってしまったとのこと。
「のど飴ある?」
「のど飴の場所?薬箱じゃない?」
「どこにあるの?」
「タンスの上だったかな。忘れた。探してみて」
「なによそれ。あたしが探すの?」
「自分が欲しいんでしょ?子供のころ遊ばなかった?物を隠して”宝探しゲーム”って。それをやらせてあげよう」
「いい年してやりたくないわよ。そんなこと」
「のどが痛いんでしょ?探している間だまってたら?少しのどを休ませなよ」
「探さなくちゃいけないなんて、なんかめんどくさいわねぇ」
「見つけたらカップ麺を食べさせてあげる。食べたことないって、しょっちゅう言ってるからさ」
「しょっちゅうなんて言ってないわよ。でも、カップ麺?…美味しいの?」
「そういうとこ、うちの母ちゃんに似てるよね」
「そういうとこってなによ」
「先入観や思い込みで決めつけて、新しいものに挑戦しないとこ。勝手にカップ麺を下に見てるでしょ?」
「あんたのお母さんに似てるなんて、あたし言われたことないんだけど」
「ええ?よく似てるじゃん。顔が大きくて身長が小さい所とか」
「失礼ねっ」
「どうでもいいけど、早くしないとねこが戻って来るよ」
「キャー。やだー!」
「だから早くのど飴探して!早く早くっ」
「だって、どこにも置いてないわよ。薬箱なんて」
「ない?やっぱりないかぁ。薬箱を家の中で見たと思ったんだけど。そうか、あれは実家で見たんだ」
「ええ?なによそれ!じゃあのど飴は?」
「うん。のど飴舐めないから薬箱があっても、入ってないかも」
「ないの?」
「噛んじゃうんだよね。飴のたぐいは全部。のど飴って噛んだら意味ないから」
「全くもう。ないなら最初からそう言ってよね!」
「蜂蜜ならあるよ。友だちからもらったやつ。のどの炎症にも効くはず」
「あら、蜂蜜?ありがとう。あたし蜂蜜大好き」
「早く舐めた方がいいよ。うちのねこ、蜂蜜好きだから戻って来ちゃうよ。蜂蜜とあらば、すぐにやって来るんだから」
「そうなの!?猫のくせに生意気ね!だけどこの蜂蜜やたらと美味しいわ。ヨーグルトにかけても美味しそう。トーストにもいいわね。紅茶にも絶対合うと思う」
「あ、ねこ…」
「いやだ、うそ!じゃあ、あたしもう帰るわ」
「ああ、そう?じゃあ蜂蜜をお土産にあげるとしよう。あとはカップ麺」
「いいの?蜂蜜!とカップ麺ね。ありがとう」
「じゃあねー」
「また来るわっ」
「ふぅ、長い話だったなぁ」
にゃこさんですが、実は今日は実家にお泊りです。
お帰りは明日のお昼。
「”ねこ…”の毛だ。ねこの毛もホコリも髪の毛もなんでか、部屋のすみっこが好きだよね」
「分かるけどね。すみっこ落ち着くもんね。電車内の座席もすみっこが一番人気だし」
…。
「さてー」
まゆさん、伸びをしております。
「ようやく静かになったし掃除しよ。にゃこ、楽しんでるかなぁ」