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「えー父ちゃん、にゃこを連れてっちゃうの?」
「たまにはいいじゃないか、なぁにゃこ?久しぶりにお父さんと遊ぼうな?」
「にゃ」
「いやだよ、にゃこがいなかったら寂しいもん。絶対やだ」
「まゆちゃん、すぐ帰るにゃからね。今日はとうちゃんと遊んであげるお約束をしたのにゃ」
にゃこさんがいなくてさみしい…
という以外にもにゃこさんがまゆさん宅からいなくなると、ちょっと憂鬱なことがある。
「じゃあさ、あんまりにゃこに父ちゃんの整髪料の匂いをくっつけないようにね。にゃこいっつもおじさん臭くなって帰って来るから」
「ええ?くっつけてるか?くっつけてないよなあ、にゃこ」
「にゃ」
「その子は何にも分からないんだから、聞いたってにこにこしているだけだよ。まぁ可愛がるのはいいけど」
「まゆちゃんそんなに悲しまにゃいで。じゃあ、行ってくるにゃからね」
「うん、気を付けてね」
……。
トゥルルルルルルルル
”あ、まゆちゃん?あんたんちのお父さんから聞いたんだけど、猫いないんでしょ?今から遊びにいくわね”
「にゃこが留守の時に、掃除しようと思ってたんだけど…」
”だってあの猫が留守の時じゃないと、あんたんちに遊びに行けないじゃない?”
伯母ペリコは、にゃこさんがまゆさんのお父さんと実家に遊びに行っている隙をつき、まゆさん宅に入り込んで来ました。
大の猫嫌い、ペリコ伯母さんについての記事:いつまでも悪化しない心臓病
※ペリコ伯母さんは母方の姉。まゆ父はまゆ母の実家に結婚時、転がり込んできました。いわゆるマスオさんのようですが、敷地が同じなだけで玄関は別です。
「ねぇ聞いてよ!あんたのお母さんったら、相変わらずひどいのよ。返事もいつもぶっきらぼうでさ。どうしてあんな風になっちゃったのかしら?昔は可愛かったのに」
「体型だって、あんなにぶくぶくと太っちゃってみっともない。少しは食事に気をつかうよう、あんたから言ってよ。あたしはエアロビ習ってたから、若い頃とほとんど体型変わらないけど」
一体何をそんなにしゃべる事があるのでしょうか。
ペリコ伯母さんはまゆさん宅に来てから、ひっきりなしにしゃべっています。
お話好きな友人USAさんよりも喋っています。
「でもね、あんたのお母さんとあたしって8歳も年が離れているじゃない?なのにあたしの方が妹だと思われたのよ。おっかしいと思わない?そうそう、前に24時間テレビやってたでしょ?あれ見てると、あたしずっと泣いちゃって。もうやんなっちゃうわ。涙涙で、もうほんと…あんたも見てる?あたしあんたが泣いてるとこ見たことないんだけど。ところであんたのその服いいわね。うそ!5千円安いじゃない。あたしの化粧水と同じ値段よ、それ。そんなに安くは見えないわ。買い物上手なのね。あたしもねぇ、そういうお手頃な値段の服も欲しいけど、やっぱり若い人と同じお店では買うわけにはいかないじゃない?ねぇ?」
ペリコ伯母さんはまだひたすらしゃべり続けていました。
続きます