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前回のお話
トビーくんは探し物の途中、ポ村に現れた知り合いだという女性に出会います。
覚えていないトビーくんは訝しみますが、女性が語るトビーくんの情報は正確なようでした。
「トビーくん、キッズ用コスメいらない?」
「こすめってなんだ!?毒薬か?」
「あげたい女の子いないの?」
「なにぃ。最強なのは男の子だっ!女の子は守ってあげなくちゃいけないものだっ」
「やだなぁ。ちっちゃい昭和男!ドキッとしちゃうこと、突然言うなよぉ」
「ドキってなんだ?心臓悪いのか?」
「ふふ、またそんなこと言って。2年前の5月15日の話していい?トビーはさ、好きな女の子の話してたよ。おゆうぎ会で手をつないだって、みんなに自慢してたんだから」
「なにっ?好きな女の子なんていないよ!」
「2年の歳月を経て、そういう話は恥ずかしくなっちゃったか。当時、きみが好きだった女の子の名前はねー」
「言っちゃだめ!言わなくていいよっ」
「あ」
「いっちゃだめー」
バサバサバサ
「あ?カラスケだ!」
丁度良く現れてくれたカラスケくんに、トビーくんはほっとしています。
「カラスケ…くん?」
しょうまさんとカラスケくんは、初めましてのようです。
「こんにちは、カラスケと言うだす。ちょっとお聞きしたいのだすが、それ…そのキラキラしたのなんだすか?」
カラスケくんはコスメと同じくらいキラキラした目で、コスメをみつめています。
「これが気になるの?きみ、キラキラしたの好き?」
「ふふ。キラキラしたのはいいだすね。見ていて楽しくなっちゃうだす。これで遊んだり、嘴を研いだりするのが好きなのだす」
「そうかぁ。でもこれは遊び道具には向かないと思うなぁ」
「そうなのだすか?」
「ちょっとそこの子、カラスケくんか。こっちおいで」
「わたす?なんだすか?」
「嬉しい?」
「くれるのだすか?嬉しいだす!」
トビーくんはそんなしょうまさんとカラスケくんのやりとりを、じっと見つめていました。
「トビーがコスメを貰ってくれないなら、おねえちゃんに塗ったくってやろう」
「むっ!おねえちゃんに意地悪しに来たのか!姉妹げんかはだめだぞ!お前に聞きたいことがある!そのおねえちゃんは誰なんだ!?」
「ん~?抱っこさせてくれたら教えてあげる」
「怪しいやつめ!村長にチクってやる!」
「そ、村長!?」
実は大学の同級生のまゆさんとともに、村長が苦手らしいしょうまさん。
「今日はやっぱ帰ろー。どうせてんまにも、逃げられるだろうし」
「む?誰だって?」
「あたしのこと、今度は忘れるなよ。そうそう、無くしたっていうおもちゃ、おうちに帰ってママのカバンの中見てごらん。多分入ってると思う」
「むむ?」
こいつの笑い方…
どこかで見たんだけど。。。
しょうまさんの1歳違いのおねえさん、てんまさん。あともう少しで思い出せそうな、トビーくんでした。